2003/08/05

第16号

 国の年金制度は人件費のみならず、採用・労働力調達、社員の安定確
 保に多大な影響がある。今それが現場から崩壊が始まっている。社会
 保障が崩れ正直者か馬鹿を見ている。
 社会保険の脱退は20?30人の従業員規模だと国民健保と国民年金に切
 り替えることを条件に各地の社会保険事務所が黙認している。
 本来、法人は社長も含め本人の希望や事情を無視する強制適用加入と
 法律で決まっている。かたや社長と2人だけの事業所が加入を申し込
 んだところ「保険料が払えないのでは」と断られたが、社会保険労務
 士が加入手続きをさせた。
 社会保険の調査でパートの未加入が見つかった後に解雇すれば保険料
 の請求が来ない例。
 別会社へ社員を移す例。2社で給与を2分割し一社分のみ保険に入れ
 る例。
 外注契約・青色申告で社会保険を外す例。(使用サレル者の本省解釈
 通達の不備から生じる問題)。
 2年ごと事業所所在地を移転し調査を逃げる例。(適用促進努力は弱
 まり、社会保険事務所の調査は2年以内は無い)。
 賃金台帳・社員名簿を抜いて隠して知らん顔する例。(調査官はつじ
 つま合わせが無い)
 数千万の保険料未納はそこら辺の会社で存在。延滞利息14.6%は銀行
 のカードローンと同じ利率なので(銀行貸付金の実行利息のこの程度)
 毎月融資の資金繰りに予定している例。
 大手企業の子会社からの保険料徴収は、脅かせば本社が立て替えて即
 金ではいるのが実態。
 給与が下がっても、健保組合職員が当該事業所の給与規程解釈に因縁
 をつけて報酬月額を下げさせない健保組合。
 社員で本来強制加入なのに会社が加入手続きをしなかったが為に被保
 険者自ら申し立ても社会保険事務所職員が(会社に言え。証拠がない
 と)取り合ってくれない実態事例多発。
 社会保険の適用や保険料集金について、厚生省時代から、会計検査院
 や行政監察によって長年にわたり指摘されても改善が図られない。
 社会保険労務士が努力しても社会保険事務所が法令無視をするから
 「人を二階に上げておいてハシゴを外す」ようなものである。
 社会保険審査会もあきれる行政実態もあり次々と法令を守る旨の「社
 会保険事務所決定の取り消し」が裁定されている。
 先日は加給年金の24億円払いすぎと未払いを同時に起こしてしまった。
 こんな場合は回収がほぼ不可能なので間違わないための事前KNOW-HOW
 があるのだが…そして社会保険庁長官の処分も訓戒と極めて軽い。

 共通して言えることは、事実上保険料集金のため、保険の収支バラン
 スのため、意に沿わない専門家の意見を排除して、官僚の素人さで金
 銭次第の短絡業務に陥ってることである。なので社会保険事務所は
 (実体が)法治主義ではないから正直者が馬鹿を見ている。社会保険
 庁の味方をする人や、一部の職員OBの弁は「社会保険に逆らって何
 か得があるのか?」の恫喝が、とにかく第一声であるが…。
 これらが厚生労働省や社会保険庁の無能力と人手不足なのかと言えば
 そうではない。今年10月からの労働保険と社会保険の保険料徴収のた
 めなのか社会保険事務所には、春から既に研修中の職員が配置されて
 いる。
 電子申請に至っては美辞麗句で説明しても、IT好きの正直者から、
 民間の手間と経費と紙使用増加で、社会保険事務所職員もが悪評する
 素人仕立ての申請ソフトシステムを使わせてと、道具は粗悪で動機も
 不純と評されても仕方がない電子集金制度だが。いずれにしても社員
 の個人情報を政府の使いやすいようにデジタル化して、不本意な増税
 (保険料は税と同じ)に協力するほど、民間企業はおめでたくない。
 厚生年金保険と一体である国民年金は保険料集金が市町村から社会保
 険事務所に変わった。が、ちなみに3ヶ月保険料の支払いが遅れると
 個人宅まで夜の8時を過ぎて(サラ金法適用外なので)督促電話が架
 かって来るようになった。保険料の集金体制と事務の電子化準備だけ
 は突出して早い。
 しかし中央官僚が笛吹けど現場が踊らずで未納率は37.2%に跳ね上が
 った。国民の責任ではない。悪人はいつの世も何処にでもいる。冒頭
 から数々の実態を示したが社会保険事務所が悪行を放置黙認し、権力
 的窓口行政を進め、正直者か馬鹿を見る実態が多発し、そこへ年金資
 金の使い込みで穴が開き、ここから国民の信頼感がなくなったのであ
 って、これだけの事を防がなかった厚生官僚の不作為なのである。証
 拠を一つ。年収1000万以上の国民年金保険料(1ヵ月13300円)未納者
 が20万人存在していたとの記者会見。これが調査差押能力が在りなが
 ら不作為で増加させ、悪行の見本を故意に作り上げた証拠である。
 とりわけ社会保険庁や社会保険事務所は保険料の集計集金、調査計算
 と年金保険給付計算の体制及びそのKNOW-HOWは世界レベルで信頼性が
 高い。標準報酬月額での計算方式とか税務署以上の倒産情報収集機煤@など、こと事務やお金に関しては民間企業は比較にならない超高水準
 である。「なのに」なのである。
 パート等の厚生年金加入問題、来年春から実行しそうだ。年収65万円
 以上が対象になると被保険者は400万人増加、週20時間労働の雇用保
 険被保険者と同基準にすると300万人との増加政府見通し。穴を開け
 た年金資金の穴埋めが唯一の目的である。東京商工会議所(山口信夫
 会頭)は7月10日、厚生年金の短時間労働者への適用拡大には、強く
 反対の姿勢を示している。「労務倒産」の恐れがあり、「企業経営を
 大きく圧迫し、結果として雇用を縮小させる」と指摘。社会保障財源
 や税制を含めた検討が必要であり社会保険の安易な適用拡大は行うべ
 きではないとの考えを示している。さらに、流通、外食産業界でもパ
 ートタイマーへの厚生年金適用拡大に反対する動きが加速している。
 パートタイマーを特に多く抱える日本チェーンストア協会、日本フー
 ドサービス協会は反対要望書を厚生労働大臣に提出した。雇用縮小、
 事務手続きの煩雑化など企業への過重な負担増が引き起こす悪影響に
 ついて訴えている。
 パート加入問題の水面下では机上論・現場論のこんなウワサがある。
 パートは妻の立場の配偶者が多く国民年金制度上の不備から年金手続
 き(3号被保険者)をしていない者が多人数存在するので、(5年10
 年)さかのぼっての「特別無料加入措置しますよ?」と、抱き合わせの
 「パート厚生年金加入キャンペーン」を実施するのでは?…ところが
 保険料不要のカラ年金期間を算入すると保険給付は増加で収支が悪化
 する矛盾を抱えることになる…と。また「女性の年金権」をことさら
 アッピールすることで権利意識の強い女性をパート加入のけん引役に
 仕立てて世論を動かそうかな?…ところが(試算によると)年金権を
 根拠に保険料を集金しても支給額はさほど増えず、被扶養者で無くな
 ると夫の収入が減る、離婚をしたときは夫婦折半の年金額では単身で
 の生活維持は出来なくなるので、…「権利は正当な金銭利益を伴う」
 と正論を主張されると「女性の年金権」はウソの表現になる…と。
 (政府や与野党の意に沿わない年金政策を提言する専門家は幾人もい
 るが、意に沿わないので審議会候補から外すし意見も聴かないのが実
 態。メールで意見を聞くが数量ではなく質の問題である。女性の年金
 権確立は妻のカラ年金期間を離婚とともに実年金とし離婚年太りにな
 らないようにした上で最低保証をすれば老齢年金離婚は防げ給付者数
 も少ないので財源も確保出来ることで解決する現実策もある)。あな
 たの意見も是非お寄せください。
 ここまでお話したがマスコミや世論のごとく、国の年金制度や社会保
 障制度は制度疲労したとはいえないのである。他人事のように機能不
 全したとも言えないのである。運営方針と組織方針を素人官僚や厚生
 労働省出向(なので素人)の財務省官僚が「間違えた」と言われても
 仕方ないのである。いずれにしろマスコミは蚊帳の外である。「A新
 聞やY新聞は無知だから調子に乗るなら記事が書けないくらいに行政
 情報を流してやらない」と脅かした職員が何人か居たこともあった。
 保険料集金や財源穴埋のために、なりふり構わずと判断されても仕方
 のない事態である。「資金をこう使って穴あけました。辞めます」
 「後任の私が正直者が馬鹿を見ないように責任持ちます」といえば、
 ほとんどの日本人は良識があるので年金保険料を払う国民であるのに。

 司法制度改革推進本部は、東京地裁の裁判官や労使双方の弁護士など
 合計14人の司法関係者からなる労働訴訟協議会を設置して、労働裁判
 を進めるに当たって、当事者の主張の出し方、争点の絞り込み、裁判
 期日の設定などが効率的に行われず、審理期間が長期化している実態
 を改善。解雇事件については運用ガイドラインで労働者の早期救済を
 図るとの意見も。これに対して日本経団連は、政府が進めている労働
 裁判制度の見直しに対する企業意識調査をまとめ、労働事件で裁判所
 を利用した割合は約4割で、そのうち訴訟の進め方や判決内容への満
 足は3割に満たない。不満の原因の多くは、判決までの時間が長すぎ
 たり、裁判所が労働問題に精通していない点を指摘している。
 労働組合には労働委員会、個人には紛争調整委員会があっせん機関と
 して存在する。どんな改革をしても裁判所となると訴訟も調停も対決
 の構えを取ってしまい、戦わなければ負ける。トラブルを煽って訴訟
 に持ち込む弁護士もいる。不安を煽って火に油を注ぐ事件屋も数多く
 いる。この弊害を防ぐ為にもあっせん機関が出来た。事業の現場で後
 日の人事管理や組織運営のことを考えると、斡旋や調停は最低限でも
 表面対決は避けられるので、現代日本社会では受け入れやすいと思わ
 れる。4月からの法改正で今までは予想できなかった、「一時的に労
 働条件ですれ違いがあっても業務ライン外であっせん」すると円満解
 決でき再び能力発揮してもらえ職場の人間関係は壊れないとの事例が
 何件も発生している。ここは、裁判所、弁護士会、労働委員会、労政
 事務所、紛争調整委員会の縄張意識(弁護士も不況で仕事確保に弁護
 士会としても大変な様子。委員会や労政事務所は職員の雇用と組織の
 存続を気にせざるを得ない。東京都労政事務所は権限が無くても実績
 と実力で有名)をこの際押さえて、視野を広くするのが先決ではない
 だろうか。

 さて個別企業の、これ以上のことは読者の皆さんで察してください。
 ご質問はフリー相談にどうぞ。全国の総務部代理店や専門的分野の社
 会保険労務士を紹介できます。
 2005年3月末までの経済景気転落期限まで希望は捨てずに個別企業ご
 とにみなさんがんばりましょう。なお、政権交代したとしても救済策
 は発動されますが経済回復策は不良債権も存在するので、何よりもア
 ジア経済戦争で「国破れてしまったけど財務省ありの政策」から突然
 の急旋回政策は出来ないので、落ち着いて腹を固めましょう。

 時代の変革期です。用いられる用語は新聞や会社によっては意味もさ
 まざまです。このURLに「辞書にない会社用語」を設置しています
 ので利用してください。質問のあった用語を記載しています。で、解
 からない用語もリクエストしてください。
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