2003/09/09

第17号

 国家政策として民間企業の退職金廃止を誘導している。個別企業での
 終身雇用とか長期安定雇用にストップをかけ社員の流動化を図ってい
 る。外部積立には損金算入が設けられ、平成14年4月から退職金引当
 金の内部積立損金算入は出来なくなっている。内部積立では税金がか
 かるので401Kとかの外部積立とすると、他企業に転職しても引き継が
 れることから、個別企業としての退職金の意味は無くなる。
 そもそも日本の退職金は大正時代に、他社からの引き抜きを防ぐため
 に3年や5年さらには10年の単位期間で始まった。戦後、高度成長時
 代に向けて社員の長期教育訓練の必要性から終身雇用とともに退職金
 制度が現在のように整備された。ところが大手企業であっても現実は
 社員教育の対象は40歳までであることから40歳以降の退職金を大概は
 惰性で決めている。若者の育成や定着を必要としない企業は、たとえ
 有名大手企業でも退職金は無きがごとしである。
 とはいっても退職金の内部積立は税制優遇措置のもと事業資金に流用
 していたのが現実で、流用できなくなった退職金引当金を課税されて
 まで、はたして退職金を用意をすることになるだろうか。原点にもど
 って、社員の育成・教育・訓練・定着の人事方針を持ってこそ退職金
 制度の意味が出て来る。だとするとハイテクかローテクかを問わず、
 いわゆる「開発型企業」に退職金制度は限られることとなる。相当の数
 を占めるその他一般企業で退職金制度は持ちこたえることが難しい。
 すなわち退職金制度は無くなり従業員の定着は悪くなる。

 昭和36年、「国民皆年金」とのことで国民年金の制度が始まった。当
 時は「財源の見通しが皆無」との事で賛成するのは厚生省と身内の関
 係者だけ。反対運動団体に裏金をばらまき、「ビルヂィング」を建築
 し裏でプレゼントまでして、圧倒的反対の世論を抑えて開始させた国
 民年金である。その後、厚生年金や共済年金と混ぜこぜにして国民年
 金の安定を図った。1000万円以上の所得が有って国民年金を納めてい
 なかった人たちがいるので「保険料徴収を強化…」とのことは、これ
 までサボりにサボってきた証明ではないのか?
 8月末に「国民年金を完納すれば倍以上年金が戻る」との発表があっ
 た。少子化、1/2国庫補助、年金資金切崩しと、官僚の手前勝手な
 架空計算である。財務省方式の経済成長には物価の引き上げ政策が不
 可欠だが、生活必需品物価を毎年3%ずつ上昇させる(3%複利計算)
 とすれば、保険料の13300円も40年満額年金80万/年も約3.3倍の金額
 にならないと…?「バカヤロー!2.4倍じゃ損するじゃないの!」…だ
 から試算は合わない。社会保険庁の素人集団が官僚のプライドで「策
 を弄して策におぼれ」、それでも金ヅルだけは離さない醜さと言われ
 てもしかたがない。
 社会保険労務士会は8月5日、日本で唯一の専門家集団として、年金
 問題での提言を発表した。老齢年金給付率を50%下限、総報酬負担率
 20%限度、3号被保険者と加給年金の制度を廃止、さらに給付と負担
 を被保険者単位とすることなど。厚生労働省の専門家らしき委員の居
 ない審議会と比べることもないのだが、4つのポイントだけで本質を
 押えて具体性があり、個別の現場を知った上での改革案であることか
 ら、議論の柱に値する。
 (社労士会ホームページ0812新着情報)
 http://www.shakaihokenroumushi.jp/

 black-humor??? こうすれば儲かる!社会保険事務所の営業???
 標準報酬月額の全国平均より給与の高い企業単位では強制適用と法律
 を振りかざして保険に入れる。
 平均より低い事業所は、難癖をつけて社会保険に入れない。…出費が
 多くなるから。
 保険料が未納になるようなら、数十人以下の事業所は、さっさと社会
 保険をやめさせる。
 倒産会社などの保険料が回収できない遡及加入手続きは、社保職員の
 出世にひびかせて遡及加入阻止。
 脅しに弱い大手企業の子会社を重点に、来年から実施の「パート加入」
 で保険料をかき集める。
 回収に手間の掛かる企業とか調査に時間の掛かる事業所はこの際、手
 を付けない。
 これらを10年ほど続け、社会保険は高給与優良企業ばかりにして、安
 月給劣悪企業は保険給付が持ち出しになるので被保険者と事業所を国
 民健康保険と国民年金に移してしまえば空前の利益金が出る。そのと
 き法律改正をするだけだ。
 年金受給者への資金が無くなれば支給額をカットするだけのことであ
 る。??えっ?そんな!「政府のやることか?」と国民に抗議された
 ら、社会保険を民営化して官僚も職員も丸ごと天下るだけ???(と
 倫理観のない話)

 9月は平成16年度の政府予算を固めていくヒアリングの月である。陳
 情、政府施策案とか予算要求は6月から本省へ持参し8月中には終わ
 らないと間に合わない。(陳情などは民間企業担当者でも可能で基本
 的には国会議員の口利きは要らない)。ことしは政治の話ばかりで、
 来年度の予算や経済再生化の話が出ない。まして「官僚機構」が話題に
 なっているのに、官僚の粛々なる予算作成について話題にしないマス
 コミは三文小説の著者(記者)なのだろうか。(所詮、文学部などを
 出て経済部や社会部の記者になる者だから基礎も知らなくて当然だが…)
 日本の国家財政は、一言で言えば「40兆の年収で80兆円使う」という
 こと。話題の年金資金や郵貯は使い込んだ。漢詩「国やぶれて財務省
 あり」である。
 総選挙は景気のどん底に合わせて行われてきた経緯もある。SARS、
 タバコ値上げ、水増按分などで、GDP国内総生産が水ぶくれした。
 国の官僚を除いて景気回復などと信じるものは誰もいない。2005年3
 月31日までは不良債権処理のため個別企業は基本的に景気の落ち込む
 経営環境にある。
 本質的には国家財政と民間経済は別物である。「国家財政は政府のも
 のへ、経済や豊国は民間のもの」が経済の本質。事業経営としては、
 現実には秋から本当の意味でのリストラをしたいところだ。出来れば
 社員は半減したい。「10年後の景気回復のときの融資が…」と銀行マ
 ンは嘘を言う。優良経営なら融資はすぐある。経営の実は今が必死な
 のだ。不良債権の返済のために会社を動かしているだけかも?…しか
 しながらジレンマだ。民事再生をかけるに掛けられない。労働債務を
 抱えすぎているのだが圧縮の方法がわからない。この堂々巡りの呪縛
 脱出にはドラスティックな決定打方針が要る。ズルズル行くと必然に
 労使面従腹背の有形無形対立で会社財産の取り合いに陥ってしまう。
 この正念場は作戦参謀としての総務担当の活躍にかかっている。「成
 長(商品)分野への進出で社員の士気向上」と「デフレ型業務遂行で
 収益改善」の2つが解決戦略の原点である。