2005/02/08

第34号

 アメリカ大統領の一般教書演説。これによると、世界経済に与える新
 たな政治的軍事的事項はなさそうだ。とのことで、国内国外を問わず
 個別企業の経営戦略に新たな変更を加えることはなさそうだ。しかし
 ながら、北京オリンピックが2008年の後の経済、東アジア経済圏構想
 は、相変わらず心配の種である。高付加価値製品または高水準サービ
 ス商品を確立しておれば、一喜一憂するような基本的な心配は不必要
 だが、アジアか、西欧か、アフリカか、東欧なのか、売り先と売り方
 とニーズに合わせた、切り替えは必要となってくる。これに基づく人
 材や労働力配置は具体的切り札だ。国内だけを相手にしている個別企
 業と言っても、その面での影響は大きく受けるので、昔のように強固
 な精神をもって努力だけしていれば幸せが来るとは限らないのである。
 経済や社会の動きは速い。昨年の秋以降は、10年一昔のスピードでは
 なく、一シーズン5年の変化である。戦略を見間違えて、投資をした
 り体制を組んだ場合には、それができあがった頃には、役立たずとな
 り、「残りは借金ばかりなり」、なのである。こういう話がよく理解
 できない無頓着な銀行マンからの融資には、みんなで気をつけよう。

 出向についてのトラブルが増加してきている。そこで要望もあったこ
 とから、現行の法律や判例的に万全な出向協定(契約)書の例案を作
 ってみた(このメルマガ巻末掲載)。出向とは、今の会社に雇用され
 たままで、出向先にも雇用され指揮命令をうけるというものである。
 出向先との雇用契約が存在する点で労働者派遣とは異なり、事業とす
 れば職業安定法違反で窓口担当者が刑事罰を受ける。移籍出向とか転
 籍出向は要するに解雇である。
 出向は雇用契約内容の中途差し替えとなるので、出向と復帰には本人
 の同意が必要となるのである。同意が取れたかどうか、完全履行され
 るのか、不履行の責任は誰が持つのか、復帰後の条件に大きなポイン
 トがある。協定と表現されるのは、雇用主が二人で出向者一人となる
 ことから慣習として、「協定書」となっているだけのことで、タイト
 ルでもって内容が左右されるものではない。参考にしていただいて、
 ご意見ご感想をお寄せください(ダウンロードのページに、社員労働
 契約書とともに今月掲載)。
 http://www.soumubu.jp/download/template/template2/yobo/shukko.html

 最近の、結構便利なデータベースを紹介します。
 利用されるみなさんの判断でお願いします。
 ほかに良いものがあれば紹介してください。

・税金関係のデータとインテリジェンス
 http://www.tabisland.ne.jp/zeidb/index.htm
・厚生年金基金の脱退や加入インテリジェンス
 http://www.pfa.or.jp/
・高年齢者継続雇用制度(平成17年4月1日)の実施詳細通達
 http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/dl/tuu1a.pdf
・全国の研修施設便覧(社会生産性本部)
 http://www.kenshu.ne.jp/
・結構、便利に見やすい、労働判例集
 http://www.ne.jp/asahi/morioka/masato/roudou.htm#ka
・労働調査会の最新ニュース(毎週金曜夕方5時更新)
 http://www.chosakai.co.jp/index_news.htm
・労働基準法関係届出書式(様式の各号は便利です)
 http://www.gunmaroudoukyoku.go.jp/youshiki/yousiki01.html
・社会保険労務士さんが見ている新着情報
 http://www.shakaihokenroumushi.jp/
・労働関連の法律 web
 http://www.jil.go.jp/kikaku-qa/hourei/index.html
・人事・経理・総務フォーム集(随時更新最新版)
 http://www.soumubu.jp/download/index.html
・Microsoft Office テンプレート
 http://office.microsoft.com/ja-jp/templates/default.aspx

 弊社では下の当社サイトへのリンクを歓迎します。企業内WEBももち
 ろんです。特に連絡の必要はありません。自由にどんどんリンクを張
 ってください。どのページにリンクしていただいてもいいのですが、
 トップタイトルなど以外は予告なく内容を改善更新しますので、その
 点あらかじめご了承願います。
 http://www.soumubu.jp/contact/index.html

 個別企業が、グローバルに展開するにあたって、事業所の所在してい
 る都市の、いわゆる「街づくり」が注目されるようになってきている。
 個別企業が多国籍展開をするのは、資本を輸出して展開するも形もあ
 るが、高付加価値や高サービス商品でもって、世界に乗り出す展開の
 形もあるのである。その場合でも「どの都市」かが、結構話題になっ
 ているのである。昔ながらに事業所がどこに所在しているかの関心事
 でどこの都市かが問題なっていたが、最近は事情が少し違っているよ
 うだ。最近の研究成果によると、PR費用を使わずとも有名な企業の
 事業背景には、所在する都市の「街づくり」が大きくかかわっている
 とのことである。北欧各国、イタリア地方などはその典型である。こ
 れらの国から発信している商品を見ていれば確かにそれは納得できる。
 またそれは、以前であれば建築家がやってきて、中心建物建設や道路
 づくり、近頃では河川改修となるのであるが、建築家だけではどうみ
 ても「街づくり」はうまく行かなくなってきた。実は、日本の各行政
 から頼まれた建築設計事務所各社も赤字不採算仕事だからイヤイヤら
 しい。
 これらの高付加価値や高サービス商品の事業を支えるための「街づく
 り」には三つのポイントが共通してあるとのことである。
 第一は、創造的もしくは概念的な仕事に携わる人材とその家族を人的
 資源として蓄積。すなわち、バイヤー、モデリスタ、起業家、マネー
 ジャー、IT技術者、生産技術者、科学者、音楽家、建築家とその家
 族、またこのような人材を育てる教育や文化の人間発達促進機能であ
 る。
 第二に、技術や情報の集積もしくは蓄積。今や個人の創造性に限定せ
 ず、集合的な創造性を促進する機能である。これが大型センター的な
 建物単位ではなく「街ぐるみ・町並みぐるみ・コミュニティーネット
 ワーク化」されているのである。
 第三に、開放的で寛容な文化の受け入れをする背景に、その蓄積の度
 合いが極端に高い。さまざまな価値観の表現または自己決定権を社会
 として支えている。コミュニティーやボランティアを基盤とした情報
 収集技術が充実している。フィンランドのヘルシンキでは福祉国家の
 弊害である意欲の乏しさを改革するためにトップダウンからボトムア
 ップへの意思決定システムを転換したのである。
 NHKでやっている「ご近所の底力」であったり、ニューヨークの犯
 罪撲滅、バーミンガムの地域社会再生の話題はよく聞くところである。
 これとは別に、高付加価値や高サービス商品を提供する個別事業の街
 には、生産や消費経済が文化消費と結び付き、古い建築物や文化遺産
 を再利用することによって犯罪や退廃文化の防波堤としている特徴が
 みられる。そもそも文化とか芸術は「人生に勇気と活力を与える源泉」
 だから人間に大切なのである。「パチンコ産業も文化だ」とか「観光
 産業セックス事業論」などは豊かな経済とは正反対の貧乏現象ではな
 いのだろうか。近世以降にしても、「正直さ」による経済活動は事業
 を豊かにすると確信したからこそ今のように経済発展してきたのであ
 る。世界でネオジャポニスムとかメイドインジャパンが売れるのも、
 知的財産立国やコンテンツ産業が成り立っていくのも、日本の文化や
 芸術性の裏付けがあるからだ。
 高付加価値や高サービス商品を提供する事業の背景や裾野には「街づ
 くり」を考慮していくことも、グローバル展開のポイントかもしれな
 い。
 そんなこともあって、私も大阪市中央区の「わがまち部会」の市民委
 員に選ばれて言いたい放題だ。
 私どものホームページでも、経営方針や経営管理の企画立案に役立つ、
 世界経済に通じる面白事業の紹介を次のURLでもって始めることに
 した。皆さんの協力もお願いします。
 http://www.soumubu.jp/cgi-bin/clip/clip.cgi
 http://www.soumubu.jp/contact/index.html

>民間開放と言うのであれば現実身近なところで、たとえば、雇用保険、
>社会保険、労災保険などの保険手続きである、被保険者の加入脱退や
>給付について、官民双方の無駄・非効率そして個別企業総務部門から
>アウトソーシングするのに「ネック」となっているポイントは、代理
>した書類に「事業主等の記名押印が必要」なことである。…アウトソ
>ーシング会社などの社会保険労務士が行った方が品質・期間・コスト
>は適切である。…現行法令で保険手続きなどのアウトソーシングには
>外部社会保険労務士の国家資格者を必要とするが、その外部資格者の
>もとで事業主等の記名押印を省略するだけで、すぐさま多大な事務が
>効率化されるのである。
 
 と先月のこのメルマガで、書いたばかりであるが、実は厚生労働省で
 は具体的に検討中で、早ければ今年から、「事業主の記名押印省略」
 が実施されそうだ。電子申請との関連もあるようだが、相当前向きに
 動くことになっているようだ。個別企業の間接部門のあり方に影響を
 与えることは間違いない。