2012/04/10

第120号

<コンテンツ>
霞が関財務党、日本の引き廻し
個別企業でも、方策により前途洋々とした道が
固有価値が取引される、国際的「楽市楽座」なら?
この年度末、消費税だの何だの陰で…
 ・マイナンバー制度の落とし穴(源泉・社保料)
 ・期間を定めた契約の場合の労働契約法改正
 ・労働者派遣法、役目を終える法改正成立


§霞が関財務党、日本の引き廻し
今や、政党の形式は持たず実態だけを持つ政治集団が、日本の社会経済を引き回している。それに対抗するのは、経済産業省から脱藩した形の元官僚たちである。この二大勢力に振り回されているのが、世界経済の暴風雨の中で、小さく身を潜めている経済活動家たちである。もちろん、デフレ経済の中では、投資をして経済活動することは致命傷、だから誰もがズッと時期を待っているのである。加えて、日本銀行が金融引き締めに入っているが、マスコミも含めひた隠しにされている。
「変化する新環境を読み取り、どう取り組むか!」が経営の本質だ。
ところが、ただ待っているだけの個別企業が多く、デフレ終息時に立ち上げる事業計画を練るとか、そのための教育訓練、職業能力の向上が行われていない。
世界をおしなべて物事の実行能力は、日本の官僚に勝るものはいなさそうだ。だからと云って、「画期的なこと」を表明しておきながら実際は官僚たちに妥協するのは裏切りである。また、経済活動で成功するはずもない官僚に、日本経済の先行きを任せることも、資本主義の原則に逸脱する行為である。だがこういった人たち、いずれの有名人も、心のどこかで「その地位にしがみ付きたい」とよぎった瞬間に、官僚言いなりの独裁者に変身するのである。
だから、総務人事部門は個別企業を拠りどころに、虎視眈々、毎日こつこつと手を打つことが大切なのだ。
最低限、
1.財務基盤を整備して現金を守る。現金を節約できる仕入れ在庫の流れ。
2.事業基盤を確保する。まず設備削減は大胆にする。
不得手な仕事はアウトソーシングして長期コスト削減する。
3.売り上げ基盤を再編成する。形骸化した「顧客ニーズ論」は否定する。
=社会合理性との整合性を保った商品開発=
例えば、商品を小分けすることで小家族向けの商品開発や販売工夫。
単位当たりの利益率が向上しても顧客から喜ばれる売り方。
サービスや仕様書の業務改善は、
個別企業のもっている固有価値を明文化することである。
それを生み出す体制づくり。
(ボストンコンサルティングの研究:世界大恐慌で生き残った企業実例などから)
…そのためのICT機器であり人材育成である、これを間違ってしまうと個別企業に利益が残らない。すなわち、売上高が高くとも、仕入れ先や販売先に利益が流れてしまい、(その個別企業の固有価値がないから)管理費が残らなくなるからだ。
官僚たちが資本主義と日本経済社会のために働くとすれば、こういった民間個別企業の方針を具体的に支援することである。ところが、日本の官僚は、国民支配欲望が強いから、無節操にソ連7ヵ年計画を真似て経済政策を実施したし、資本主義原理を無視して統制経済でもって商品流通を阻害もしたし、そんな歴史を繰り返しているのだ。(だいたい、キリスト教・イスラム教では、公務員は奴隷仕事と教わる)。


§個別企業でも、方策により前途洋々とした道が
さまざまな知恵を出せば開ける。それは、狙いは世界約1億人の富裕層に向けて、日本から「高付加価値製品&高水準サービス」の商品を提供することである。世界的な経済の影響を受けることは仕方がない。だがしかし、量産と薄利を求めて海外進出するばかりが生きる道ではなく、あげく中国系資本などに買収される落ち目は避けられるからだ。(企業も労働者も中国に買収されてしまうのは、ひとえに金融や金銭のみを追い求めて働かされていることによる)。
その国際市場は日本国内に作ることは可能で、そこから個別企業は日本国内を拠点とし、新たな語学もバイヤーも人材も不要なのである。その大きな根拠となるのは、およそで説明すれば
1.経済活動の場は都市であり、楽市楽座であること
2.そのためには法秩序と統治によって安心感と安全を確保すること
3.外敵や不正から守られて、初めてイノベーションの余裕が出ること
この条件に、日本国内の大都市は当てはまるところが多い。
ソウル、釜山、上海、北京、香港、マニラ、シンガポールと数えてみても、信号無視から始まり凶悪犯まで、安心感・安全都市ではない。実に世界の情報交流事情は様々で、ポイントは情報がICT機器で交わされるとしても、「経済取引の対面:場づくり」(共通空間)なのである。日本の西方面の国のような、誰かが情報を集約し、誰かが気に入らないからハッカー行為をするといった行政は、この「場づくり」を否定するから、新産業やイノベーションが衰退するのだ。あげく、商品に付加価値(特に固有価値)を含ませないで、(東京電力の様に)産業の足を引っ張ることにもなるのだ。
要するに、日本と日本人の安心感と安全を軸に、世界1億人富裕層の商品市場(場づくり)を日本に作ればよいのである。


§固有価値が取引される、国際的「楽市楽座」なら?
国内各地で「地域の活性化」のためのフリーマーケット(楽市楽座)が流行しようとしている。
1.商業ベースのフリーマーケット(自由ではなく規律と規則正しさを求められ、場所料は5千円以上)は衰退を待つしかない。事実、身近な公園などでの参加料の安いフリーマーケットは盛況である。身近な方がデフレ時代の波に乗っている。
2.フリマ開催規則など作らず、暴力団と刑事事件の未然防止対策だけに限り、あとは参加者自由運営だから盛況である。それは、大型都市の大規模店舗売り上げが低迷する一方で、近所のターミナル近くの専門店が売り上げを伸ばしていることと共通している。すなわち、精神的にも物理的にも「楽市楽座」の手法が必要なのである。
3.市場開拓は、従来のカテゴリーの組織や、その組織が行うマーケティング方式では不能を呈している。いずれにしても、国民総生産の統計数値に現われない「地下経済」だが、在日外国人は違和感を思っておらず、急速に膨張していることは間違いない。
4.いつのことやら分からない大言壮語に期待していても仕方がないし、何もしなければ即自滅である。
5.「付加価値」などといった、ぼーっとしたことを言っていないで、明文化できる固有価値が取引される、「フリーマーケット=楽市楽座」は、新たな「経済の豊かさ&成長」の視点になり得る。(次のHPの研究報告の欄)。
http://www.soumubu.jp/new.html
こういった根拠から、「国際的な楽市楽座」の場(共通空間)となれば、経済の世界的重要拠点になれるのだ。情報プラットホームでは、新規経済活動の役には立たない、それは、その場の即座の行動力が伴わないからだ。(その他、経済史や経済学的根拠の説明は、このメルマガでは、ただでさえ文章が長いと言われているので省略)。


§この年度末、消費税だの何だの陰で…
次々と重要法案を成立させている。まるで国民に知れわたる前に仕上げを急いでいる官僚のやり口そのものである。だから、海外に配信された情報を見てから、国内情報の把握を要している。
【税と社会保障一体化の関連法】
…これは個々人の人生設計を決めるから、国民の意識や勤労意欲を左右する。ところで、2010年の年金保険料未納率が40.7%、20歳から24歳は50.8%、25歳から29歳は53.7%と厚労省は発表しており、年金制度は崩壊している。若者が老人を支えると言いながら、既に支えることはやめているのだ。にも関わらず、官僚が生き延びるための財政構想としか言いようのない代物である。
【マイナンバー制度は】
…個々人番号付け、隅々から源泉徴収・社会保険料を徴収して、その年間額4兆円程度である。
(後のコンテンツで、その徴収手法を解説)
【法人の番号制度】(マイナンバーに含む)
…情報保護の対象に法人番号は入っていない。そのため、ありとあらゆる所で使用されるであろうし、それが官僚たちの思惑である。その狙いは年間6兆円を超えると言われる脱税額の回収である。個人の番号付けと併せて法案提出し、別目的なのにどさくさまぎれで決めてしまおうとする手法である。かつ脱税は悪との「正論」を掲げているので、国会議員・業界団体は反対したくても出来なくさせられている。
【労働者派遣制度・終了に向けて法改正】
…直接規制するというよりも今回の改正は、派遣業者の苦しい経営を直撃することで、制度や事業を縮小させようというものである。なぜなら、派遣制度には期間契約の労働契約が不可欠であるが、この有期の労働契約に関する法改正で本命を狙っているからだ。
(後のコンテンツで解説)
【期間を定めた労働契約の法改正の動き】
…戦前日本の期間5年の「労働契約&年季奉公システム」は労働生産性の足を引っ張るだけではなく資本主義経済の障害ともなっていた。戦後は終身雇用の理想を掲げて労働力を確保したかにみえたが、体を張って文句を言った世代だけは恩恵を受けたが、もとより実体のない年金制度と年功序列賃金によって国民に付けがまわってきた。
また、硬直した労働市場と職業能力向上を度外視したための弊害を、労働者派遣制度で克服(特に女性の技能労働市場の形成)しようと試みたが、1997年職安法改正&1999年派遣法改正で失敗、無秩序な労働市場&職業能力下落を引き起こしてしまった。この経緯のもとでの労働契約法改正が進められているわけだ。
(後のコンテンツで法改正骨子を解説)


マイナンバー制度の落とし穴(源泉・社保料)
税と社会保険料の一体化の具体策として、個人番号(マイナンバー制度)で国が納税と社会保険料を徴収一本化することは、前号の総務部メルマガで報告した通りである。扶養家族申告書、確定申告書、源泉徴収票、社会保険算定基礎届、賃金計算明細書その他、ありとあらゆる箇所に「マイナンバー」を記入させる方法だ。
だが、インフォーマルな事情・情報は、政府も官僚も、いずれも政党も議論から外している。
確かに、大手企業にあっては無関係な部分も多く、かつ、実際の給与・経理・税務事務を行っている者でなければ分からない部分がある。さて、当の税務行政や社会保険行政の公務員たちは百も承知、それを取り仕切る官僚たちも、この上なく承知している実態がある。だからこそ、一挙に実施しない策に出ており、とにかく、一挙に導入せず、社会問題化しないように計画している。その実務におけるそれは、
1.月額87,000円未満の者の源泉徴収の開始
中小企業の経営者で、87,000未満なら所得税非課税と思っている人も多く、そう思っている労働者も多い。これをマイナンバー記入がなければ、給与を経費と認めない制度としている。
2.毎年度末に集める扶養家族申告書に、被扶養者のマイナンバー記入
これにより、被扶養者の給与収入はすべて税務署が合算して計算するから、所得税の対象となる。高校生のバイト、主婦のパート、祖父母の収入など一目瞭然である。源泉徴収の還付を求めて確定申告をすれば、さらに家計収入は一目瞭然。
……ここに制度の狙いがあり、所得税5%+住民税10%が課税される。
3.個々人の給与所得額から社会保険の加入状況を洗い出す作業
昔々、給与所得と社会保険の突き合わせをやっていたが、これをICT技術で復活。
折しも厚労省は未加入被保険者を3年以内に半減させる目標の方針を決定した。
……ダブルで1週間に30時間以上働く者の保険加入に実施の地ならしである。
(社会保険料の支払は、より多くの時間働かせた事業主の義務である)。
4.雇用保険や労災保険の保険料算定基礎にも使用
……すぐさまではないにしろ、当然のごとくマイナンバーの使用は拡大される。
5.法人のマイナンバーは、個人ではないから情報保護の対象外
法人マイナンバーは調査会社も競合会社も利用出来るから、密告社会を促進するし、詐欺に使用することも想定内である。こういったマイナス社会とならないための具体策は検討されていない。現在日本のポピュリズムは、単なる付和雷同といった低レベル意識であるから危険極まりない。だが、「国破れても、官僚は残る」とする目的であるから、差支えないとしているにすぎない。さらに、法人の預金が金融機関を超えて名寄せされる道を開くことになる。
……これで、資本主義の原則である金融機関の情報守秘が崩される。
6.生産やサービスの現業部門の、経済システムを直撃
マイナンバー制度を回避する策は、外注(SOHOとか内職)しか残っていない。
だが、時間で労働者を指揮命令する方式を、完成品のみで納入させる方式に変更は不能だ。民法が改正されて、役務提供契約が施行されれば労働者性はますます高くなる。出来高制としても、出来高賃金を支払うのであればマイナンバー制度適用である。だから、無理に外注を推進すれば、近代経済システムの柱となっている、「労働の指揮と分配で価値創造を統制」することができなくなれば、資本主義の否定、すなわち、事業経営自体が運営不能となるのである。
……だかやはり、回避するために法の目をかいくぐっての外注は増加する。そこに(米国:禁酒法のアル・カポネ、戦前日本の年季奉公=人身売買の様に)新たなブラック経済が生まれ暴力やカルトが横行、ICT機器を使って商品経済・商品流通を阻害する形態が発生することは目に見えている。
官僚や政治家には、こういった経済原理の存在までの洞察が出来るはずもない。

その賃金関係の増収額は4兆円余り
と推測される。税と社会保険料の増加する総額なのだが、大論議となっている行財政収入見通しには含まれていない。なによりも、対象とされる賃金所得が現実に果たしている効果とは、いわゆる貧困層の生活費補てん、主婦のヘソクリその他、いわゆる社会の潤滑的役割なのである。それは確かに地下経済の部分ではある。だが、イタリアのナポリ地方ではないが、国民総生産よりも消費支出が多いといった統計が存在するとしても、それなりの経済的豊かさの象徴であることは否めない。こういった議論を抜きにして、マイナンバー制度は進んでいる。そのうちに、「暴力団排除です」との意味不明な屁理屈が持ちだされ、暴力団でなければ賛成しろとの踏み絵を踏まされることで本来の社会福祉が侵される、まるで日本の西方向にある「この世の楽園」のごとく。
法人その他の脱税は6兆円程度
との話もささやかれている。だとすれば、脱税防止システムにのみ焦点を当てた制度を作れば良いのである。だが、年間6兆円の脱税を焦点としただけでは、官僚の敵側に政治家が回ってしまうのは自明の理、そこで「税と社会保障一体化論」に潜り含ませ政治家の口封じをはかっているのだ。なにせ脱税資金は政治家の資金源でもあるのだから。


期間を定めた契約の場合の労働契約法改正
== 来年度までの対策が不可欠 ==
今、日本経済社会に求められている新しいビジネスモデルに対応した、新しい労働力需給(採用~退職)までの企業内システムを創る上で、重要な法改正となる。それは、ビジネスチャンスでもあり、旧来のモデルであれば経営難の引き金ともなり得るものである。
その法改正の骨子が固まった。形態は労働契約法の改正(3/23法案を閣議決定)で行われる。国会にも提出され、早ければ雇い止め規制は10月1日に施行かもしれない。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/180.html
だとすると、4月1日の新年度からの雇用契約で、その準備が必要となってくる。とりわけ、労働契約のうち期間契約は法改正により直撃されることとなる。
労働契約の終期を定めた終期契約は、5年を超えて雇用していたときには影響を受ける。単なる期間契約であれば、裁判所は期間契約が4年目に突入した場合、常用雇用と見なすから、今から期間の途中であっても、終期契約への変更が推奨である。
http://www.soumubu.jp/download/template/template1/2-t-nyusha/2-02.html
●主な法案骨子は次の通りである。
1.5年を超えて更新を重ねれば、労働者の申し出によって無期契約に転化。
2.雇止めを規制する判例法理が法定法理となること
3.期間(終期)労働者の不合理な差別を違法と扱うこと

【5年を超えて更新された労働契約】
契約の名称の如何を問わない。すなわち、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員の何れであっても適用である。1週間の出勤日数も関係がない。期間契約、終期契約のいずれにしても、5年を超えれば労働者の申し出で常用雇用(無期契約)に転化する。転化するとは雇用契約が自動的に存在し、賃金支払の義務が生じるというわけある。
問題となるのは、前の労働契約と後の労働契約の間に、期間が空いていれば更新されていないとするのかどうかである。が、現在の議論では、「6ヵ月間の空白」が存在すれば期間が空いているとするなどの解釈が有力、6ヵ月未満だと継続と見なす方向である。
終期契約であれば、これの全部を直接適用されることはないが、新法施行から5年経過で無期契約に転化する。
ただし、週に数日働く程度で期間を何ヵ月も拘束しなければ、もとより数日ごとの期間契約と見なされるから5年を超えても無期契約に転化することは無くなるが、労働者を期間拘束する企業側の権利はなくなる。
期間契約や終期契約が無期契約に転化したとしても、そのことで賞与・退職金の対象者にはならない。ただし、社員と、無期契約に転化した正規雇用者との差異に関して、退職金有無、賞与の有無を、就業規則に記載することが不可欠だ。
例:「賞与は、この就業規則に定める社員にのみ支給する。」
:「退職金は、この就業規則に定める社員にのみ支給する。」

【雇止めを規制する判例法理】
とは、解雇一般の要件事実に加えて、
イ)臨時的又は補助的業務を基礎づける事実
ロ)更新の回数が少ないこと
ハ)労働契約の通算期間(4年目に突入していない)
ニ)更新の手続実態の存在を基礎づける事実
ホ)継続雇用の期待の排除を基礎づける事実
ヘ)継続雇用への期待防止を基礎づける事実
これら6つの要件について、一貫性を以て証明でき、事実一致性を以て書証その他が提出出来ることを指している。
一般的な期間契約であれば、おそらく多くの実態は法律違反とされる。裁判所は、現在でも期間契約が4年目に突入した場合、これを訴訟提起されたときは常用雇用と見なしている。すると、新法施行日以後、個々のケースを重要視する判例法理→法定法理が適用となるので、裁判所は審理を省略して、「定年までの常用雇用」と法定の故で裁決し、契約不履行の賠償を、直ちにさせるという枠組みになる。(法定法理となれば、まともな弁護士は引き受けないことにもなる)。
現状実態で、一番気になるところは、この6つの要件について、それぞれの事案ごとに、一貫性を以て証明でき、事実一致性を以て書証その他の提出が出来るまでに至っているか?である。
なお、期間契約での期間内の契約解除には、期間満了日までの遺失利益(100%賃金等)を補償しなければならないことは、正規社員より厳しい裁判所の扱いとなっている。案外、本社から指示をしていても、何の気なしに現場では手を抜いていて、いざというとき、書証その他の物が出てこないことがよくあるから、二重三重の制度設計が大切となる。

【期間(終期)労働者の不合理な差別】
とは、「有期雇用であることを理由とした正規労働者との労働条件の格差が不合理とみなされるときは、裁判所は是正措置や損害賠償を命じることができる」との解釈である。昇進昇格の賃金、教育、仕事内容、労働時間が主な労働条件格差の項目である。昇進昇格などは、特段の定めがない限り対象となる労働者にはならないから、そういった事項は不合理な差別とはならないようである。

【全体を通して言えること】
は、今の政権に変更した際に議論された、「非正規労働者の社員化」の路線は、結局のところ採らなかったということだ。いわゆるヨーロッパ型ではなくアメリカ型の雇用政策となった。正規や非正規、社員や期間契約社員を問わず、実体的な格差を具体的に縮小させようというわけである。もちろん、TPPの動きも踏まえてのことである。
民法の役務契約規定とあいまって、こうなれば抜本対策が必要となり、労働力を、いかに効率よく採用し、働いてもらうかのビジネスモデルを考えて、それから、新しい法制度をうまく使えないか?といった思考方法が必要となる。
日本経済の流れは
A.従来型の社員の数は絞り込み、
B.5年を超えた正規雇用者(賃金は高いかもしれない?)、
C.契約社員、契約は終期契約の雇用者に絞って5年以内の、一区切りの者
の3パターンとなるであろう。
(雇用における期間とは、週の出勤日数や労働時間に関係なく、2日以上の契約すべてを含む。日雇いは1日限りなので期間にはならない。派遣法の30日といった規定とは、別概念である)。
加えて、いま国会審議中のマイナンバー制度(平成27年1月導入)を(税と社会保障の一体化と)併せ考えれば、
イ)どれだけ「30時間/週」未満の者を活用できるか、
(方法は、ICT活用や募集・登録制度などに)、
ロ)そして、個別企業の商品の固有価値を提供できる人物を育てること、
……ここに、ほぼ全てがかかってくるといえる。
こういった経営環境の中、
高付加価値製品&高水準サービス(いわゆる固有価値)へと、日本の主なリーダーが、経済政策の舵を切っているわけだから、個別企業のビジネスモデル(いわゆる理想形)を間違えれば、努力するまでもなく、荒波(TPP・FTAの以前に)に会社ごと飲まれるといったこととなる。


労働者派遣法、役目を終える法改正成立
もう、派遣の事業形態は、日本での役目が終わったと、労働官僚は考えたようだ。この制度や「業務請負の形態」に携わった私としても、たしかに同感である。
http://www.asahi.com/politics/update/0307/TKY201203070523.html?ref=reca
派遣業者は、現在、単体では多額の借金を抱え、返済の当てもなく、そこに、この改正で経営を直撃された。
1.マージン率の公表で、派遣先からの受注敬遠材料が増え、
2.派遣先のニーズであった人件費コスト低減であったところ
これを背景で支えていた直雇用回避が
「派遣先企業が労働者に直接雇用契約を申し込んだとみなす制度」
で、出来なくなってしまい(3年後といってもすぐのこと)、
専門業務以外はビジネスモデルが成り立たないことになった。
あとは、「業務請負の形態」だが
偽装請負だと、違法派遣の場合と同じで、請負要件を整えられるかがカギとなる。
…だとすると、外注かアウトソーシングに帰結するから、やはり派遣業は終焉ビジネスとしか言いようがない。
(その点やはり、官僚は頭脳だけは優秀、政治家と派遣業者はもてあそばれた)。
派遣法改正の本命は、すでに案内の通り、一昨年の派遣法が成立難航したときから「期間を定めた労働契約の法改正」(この3月23日に法案を国会提出)に労働政策が移っていたのである。この労働契約法改正が成立すれば、非技能系派遣業のビジネスモデルは崩壊する。