2014/05/06

第145号

<コンテンツ>
日本経済は衰退どころか、崩壊しつつある!
財務官僚たちの資産食いつぶし手法
資産食いつぶす残業無賃金法案、解雇規制解除法案
戦前も然り、軍事・大蔵・内務官僚が国をつぶした!
情報とは…情報に誤魔化されない手法とは
   【インテリジェンス収集手法編
   【インフォメーション精度確認編
日本の重要なエネルギー源・森林を考える(事例研究)
   ☆彡そのうえで、新しい森林産業の起爆として、
次代の経済に通用する職業能力向上のヒント


§日本経済は衰退どころか、崩壊しつつある!
経済経営学の本質を学んだ人なら、日本経済の現状を察知することができる。本質をつかむ学習は大学の経済学を卒業する必要は無い。その分野の勘が鋭ければ17~18歳で察知できる。その後の学習というものは、その勘の鋭さの成功率を高める様なものである。日本経済新聞ばかり読んでいると経済経営の勘が鈍くなることは良く知られている。所詮景気判断は経済統計の発表を待つ必要もない。
今年の4月から小売店からは、一挙に客足が遠のいた。市街地の喫茶店も然り、多くの人がコンビニで100円コーヒーを買って出勤している。スーパーやデパ地下でも生鮮食料品の品数が少なくなり価格値上げ傾向は否めない。1人当たりの賃金も、正規社員の賃金改訂?にとどまり、非正規社員も含めれば、実際のところは21ヵ月以上減少し続けている。正規社員から非正規社員への労働力転換も益々加速している。日本はついこの間まで輸出大国だったが、今や一転して輸出は不振となり貿易赤字が急増している。この経済の衰退は、消費税が8%に増税されたことが一原因であるに留まらない。世界経済の構造転換で貧乏クジを引いてしまい経済崩壊にさしかかったと診るべきである。これは日本だけでなくアメリカも経済が衰退し各所で崩壊が始まっているからだ。
この期に及んで、個別企業がとるべき経営管理方針は、一気に不採算部門を整理してその他、負の連鎖を断ち切ることが必要である。それは、“コストカット”とは違う方法で、企業再構築の気構えで事業再構築をする必要がある。また、その事業再構築は資金投入に頼ると再び負の連鎖を拡大させる。日本人は今後、しばらくの間は衰退の中で生きることになるから、財務官僚始め魑魅魍魎とした周囲の、「資産食いつぶす手法」の罠にはめられないことが肝心である。あくまで会社形態は、ひとつの経済活動の手段にすぎないから、企業も個人もが連帯保障を避け、通貨による投資・資本投下は行わないことが肝要である。冷静な目で、「本来売れるものは、営業経費をかけずに売れる」と見極め、需要に応じた固有価値商品を提供する職業能力を、個別企業として磨くしかない。すなわち、現在の市場に対して、個別企業が組織している労働者の職業能力向上、新規職業能力の着眼点を広め、労働者を再組織することから始めるしかない。(参照:次代の経済に通用する職業能力向上のヒント)。


§財務官僚たちの資産食いつぶし手法
経済崩壊にさしかかったことから、アメリカの金融利回追求企業と日本の財務官僚たちは、過去から国内外に溜まっている資金・資産を目当てにして、新たに価値を生み出すのではなく不良債権を急増させている。すなわち、借金で官民の事業展開を進め、その事業展開に踊り狂う個別企業と拝金人間をかき集め、手っ取り早く資金を(回転させずに)流通させ、溜まっている資金・資産で補てん=不良債権処理させるといった、「資産食いつぶしの手法」である。その資金・資産とは、個別企業や個人が保有しているものを税金と社会保障費(=税金)の名目で財務官僚に集積させることである。低収入高齢者や母子家庭乳幼児には、ストレートな生命を脅かす選択が迫られるから、その周囲の人の個人資産までも脅かされる。
ここでの特徴は資金を回転させないことであり、経営分析の指標である資本回転率は限りなく1回転なのである。そのような資金を供給しようとするのは日銀なのだが、ここしばらくは日銀金融政策では間に合わないので、官僚たちは市中銀行に負担させる国債を使っての借金事業展開(公共事業などの形態をとる)とか、あげくは公的年金基金でもって最高価格水準にある株券(=値下がり気配株)の買いに入っている。
こういった手法は、資本主義の原則から逸脱している。資本主義経済を活発化させるには、広範な事業活動における経営者の、「自由と平等」が重要なのである。この経営者の自由と平等こそが社会の活気を生み出す源泉である。マイナンバー制も導入されることとなり、社会底辺の潤いまでもが税収となれば、封建時代のような重税による産業荒廃が引き起こされるばかりだ。
にも関わらず、この経済の衰退・崩壊過程にあって日本の政府や自治体の官僚たちの手法は、権力を背景にした不自由と不平等を経営者に押しつけるものとなっている。この場合の経営者の自由と平等は、労働者の自由・平等とは違う角度で分析する必要があるのだ。女性労働力問題も、女性が社会格差で活躍が阻害されているからこそ、女性の自由・平等も独自の角度で分析する必要がある。注意を要するのは、経営者の自由と平等だけが、単独で保障される社会は存在しないことである。むしろ経済的貧困、世界観(哲学)的貧困、文化芸術的貧困に落ちれば、「意欲・感動・希望」といった商品経済を支える要素に対して、人間は誰しも、経営者、労働者、女性の特質を超えて、「アキラメルこと」が蔓延する。
そこに宗教活動(宗教観ではない)が社会不安とともに活発化するのであるが、「アキラメ」の宗教も蔓延し、「希望」の宗教も芽を噴き出すことになるから、事態はややこしくなるのだ。加えて、大手マスコミは、その宗教活動めいた手段で売り上げ最優先の経営を行っていると言わざるを得ないのである。


§資産食いつぶす残業無賃金法案、解雇規制解除法案
さらに財務官僚たちは、
(A)それなりの経営手腕を持つ労働者に向けては残業無賃金法案を
(B)消耗品労働者の自発的増加に向けて解雇規制解除法案を
彼らは持ち出してきた。確かに現状は、正社員には残業無賃金が広がり、会議・報告・打ち合わせに要する時間が増えて労働力(労働ではない)価値が急速低下し、あげく正社員の時間単位当たりの賃金が低下していると診た方が妥当ではある。また、現代日本の社会制度のもとで解雇規制を外したならば、お局・イエスマン・ゴマすりといった者らが有能な人材の若芽を摘み取ることは間違いないのである。
だとすると、個別企業には教育や練習によって能力向上する人材はいなくなり、労働の固有価値を発揮する人材もいち早く退職することになる。それは既に、金融利回り追求型企業の内部運営定石パターンが証明しており、有能な若年経営者・労働者が海外脱出する事例の通りである。すなわち、事業ノウハウを蓄積した中堅・中小企業にとっては、財務官僚たちから利益源泉を恫喝されている事態なのである。
労働市場全体としては、一般正社員が棚卸しされて一般長期契約社員に変更することで、格差は広がると同時に、ここでも資産が食いつぶされる事態(配偶者、両親からの個人的援助の形で資産消耗)となる。事業・産業育成型の個別企業にとっては、職業能力とか固有価値労働の啓発、人材育成事業場援助、人材育成企業認定制度、そして雇用保険の失業金銭給付に変わり社会人職業教育現物給付の施策の方が重要なのである。ちなみに労働官僚たちには助成金が目的利用外消化されている実態が見えていないのだが…。
この法案には、労働官僚たちも大反発し、国会に提出される当座の法案は既に骨抜きをされている。だが将来的には、労働官僚といえども財務官僚から独立したグループではないから、徐々に財務官僚の締めあげを受ければ、労働官僚たちは財務官僚の言いなりになることも間違いない。残業無賃金法案、解雇規制解除法案というものは、筆者からから言わせれば、「稚拙な官僚機構社会づくり」としか映らないのである。
日本の個別企業は、おおまかには金融利回り追求型と事業・産業育成型のいずれかに軸足を置いている。中小企業ともなれば、この2つのいずれか一方に偏っているまでに至り、軸足を置くのではなく何れかに偏るものだから経営破たんするのも当然なのである。そういった中で、金融利回り追求型と事業・産業育成型との対決のように事態を語るものだから、いずれの選択肢を選ぶかの稚拙な二元論に陥りやすくなる。マスコミが持てはやす経済専門家も、この稚拙な二元論を振りまいて、本質のごまかしをかけようとしている。その本質とは、衰退・崩壊しつつあるアメリカ経済を資産食いつぶし手法でもって立て直そうとする手法、これそのものに群がる「財務官僚」と「お零れに潤う拝金人間」の傘下に入り、その手下になることである。それは当然の如く、「先着順」の者だけが潤う構造であり、その末端に群がる「貧乏人が新たな貧乏人を再生」するシステムであることは歴史が証明している。


§戦前も然り、軍事・大蔵・内務官僚が国をつぶした!
明治憲法(能力だけは平等に扱う建前だった)が制定されても、実態は能力を無視した官僚機構でもって国家運営を行ったものだから、美辞麗句を並べた結末は、経済・社会・文化に至るまで「大政翼賛会」にまとめていったのである。その手法は驚くことに、世界最高の官僚機構を形成した「社会主義のソ連」の真似をし、社会主義5ヵ年計画に類似したばかりでなく、日本人が好みそうな世界観や宗教観を背景にした用語や漢字を使って(スターリン時代のソ連のように)、個々人の思考や仕草への介入(特高警察)にまで至ったのである。スターリン式の計画経済や聖書連想語句(ロシア正教全般の教育土壌)の活用や、演説や論文に使う用語の頭に「革命の~」とか「人民の~」の語句を加えるとか、あるいは新しい簡略語を導入する(日本ではイニシャルではなく、多重複雑概念を持つ漢字のキャラクターを用いる手法)など、その見本は、「社会主義のソ連」に存在したのである。例えれば、「鬼畜米英」とか「凛(りん)」とか「決死」などで、言葉の意味ではなく、その言葉の使われ方で効果があるのだ。(元のソビエトの語彙とは反皇帝側のロシア正教同士の教会間連絡評議会の意味であった)。=官僚機構の運営手段に興味ある方は、『ソヴィエト文明の基礎』みすず書房、『ロシアとソ連 歴史に消された者たち-古儀式派が変えた超大国の歴史』河出書房新社などを参考に=
日本の官僚組織は、ある意味で現在もなお「ソ連官僚機構」の初期段階手法を活用することで維持されているようだ。それは財務官僚を筆頭に徐々に進められながらも地方行政官僚にまで至っている。また、日本の大手企業も官僚とともに蜜月を長年過ごして来たこともあり官僚機構が浸透していったし、大手企業の人事部門若手社員が厚生労働省通達を鵜呑みに活用する傾向が顕著である。労働組合の組織も政党もやはり、官僚機構の組織運営をまねることで終戦直後は大勢力を誇ったものの、ただし官僚的運営のため衰退の一途なのだが…。だから何かに付け素人は、この官僚機構の幻想に期待して、日本での物事を進める傾向が強い。いくら能力があっても、チヤホヤされた人物は、骨肉を削り貧乏を貫いても、当座は官僚機構に群がるものである。それは官僚機構とは異なる生活・運営手法を見たこともない無知に原因があるだけだが。


§情報とは…情報に誤魔化されない手法とは
ICTとは、インフォメーション・コミュニケーション・テクノロジーの省略であるが、現代的には情報にごまかされないことが重要となっている。「昔は情報源も少なかったことから、注目や監視にさらされて情報精度も高かった」といわれるが、そんな間の抜けた実態こそ昔から存在しなかった。情報という言葉自体が日本で作られた新語である。いちばん貴重な課題というのは、情報でもって大成果を成しえた人や集団の、「情報といった言葉の定義」である。
大成果を成しえた彼らを研究してみると、インテリジェンスとは、インフォメーションとは、とはっきりした区別をつけていることである。この2つを大そう混乱させて仕事をしている人たちは、今や文部官僚や文部科学省事業費になびく学者・研究者に多いのかもしれない。また、コミュニケーションとは、あくまでも「推論による意図理解」のことである。このように概念定義をすれば、余計な混同も防げる。
インテリジェンスとは、
ひとつの目的や理念を実現するのに有利なインフォメーションを取捨選択し、次に加工した解釈論理である。人間は3人以上で行動を共にするには、「哲学」さらには「世界観」が必要となるが、この目的・理念を実現するための解釈論理なのである。したがって、決して事実の羅列ではなく、事実関係がより明らかなのである。だから、主体的に収集する人にとっては、「面白い!」現象と要素とを含むことになるのである。
インフォメーションとは、
単なる事実の羅列であって、事実関係を表しているものではない。統計資料ひとつをとってみても、その統計の目的によって数値的事実が現われていたとしても、事実関係を表してはいない。あるひとつの目的・理念を実現するための解釈論理を筋道立てて証明(合理一貫性)した場合に、初めて事実一致性を裏付ける証拠としてしか、正式に使われることはないのだ。例えばアメリカ連銀は金融政策に雇用統計を重視するが、日本銀行は日本の失業率や有効求人倍率=雇用統計を金融政策に反映させない。過日、日本のマスコミ報道水準は先進国の中で最下位以下にランク付けされたとの発表があったが、それはこのインフォメーションが自由に流通しないことを意味しているにすぎない。すなわち、経営管理や人生設計その他に最も必要なインフォメーションは、現代社会にあっては数量に左右されないのである。

インテリジェンス収集手法編
手っ取り早い収集手法は、その人の思考や信条を把握した上で、学者やジャーナリストの研究成果を受け取ることである。だから今もって書籍による情報提供が重要な役割を果たすのが。とはいっても、殆どの場合に実際の事業展開や経営管理には役立たないから、専属の専門家やミニ・シンクタンクと顧問契約するしかない。自前で調査機関を作るほどの人材確保経費・調査費用を捻出するのは大手企業でも困難・不合理である。そこで、まずはインテリジェンス収集の「当たり」をつけるために、その方面の書籍を読みあさることが効果的である。統計資料、新聞記事などは殆ど役に立たない。WEBで探すものは、その方面にどんな書籍が存在するかを探すのである。すなわち、インテリジェンス収集の作業は、極めて主体的であり積極的な作業なのだ、決して情報に振り回されるような作業ではない。実際、「情報に振り回される」と自覚している人は職業能力に問題がある。加えて、例えばアメリカ連銀が金融政策に雇用統計を重視するが、日本の失業率や有効求人倍率を日銀は重要視しないといった理由を知ることも、目的・理念での合目的的なインテリジェンス収集作業には欠かせないことである。インテリジェンスとは昔の言葉で言えば「教養」といわれるものに似通っている。

インフォメーション精度確認編
イ)当たりをつけるためのインフォメーションを探す場合の精度確認は、その内容の「合理一貫性」ならびに「事実一致性」でフルイにかけて行く。
このフルイの要諦の例え話は、:ガリレオの地動説に対する天動説には比類なき合理一貫性が在ったが、地球が動いているという事実一致性がなかった:といった確認手法である。
ロ)もうひとつの要諦は、:事実確認を迫るときに、「そんな言い方はしていない」と逃げられる場合に、「あなたの意思表示のどことが異なりますか」又は「合理一貫性のある概念ならば同義語なのではないですか」と、確認を追求することで事実一致性の整理はつく。
少なからぬビジネス書や「他人からの持ち掛け話し」の多くは、こういった方法で即座に精度の低いことが判明する。官僚の話を、この「合理一貫性」ならびに「事実一致性」でフルイにかけてみると、有用性と誤魔化しは一目瞭然となる。
ハ)水際の手法としては、日常的に飛び込んで来る、断片的なインフォメーションは、独自の全く別のルート3本からのものが一致しない限り、すべての話は「話3分の1」と割り切って仕舞っておくことである。断片的インフォメーションを確認もせずに裏づけ証拠として使用すると、事実関係自体がひっくり返る。それは読者も冤罪事件報道でなじみ深いものだ。
ニ)様々な面談や会合に持ち出される話は、この「合理一貫性」ならびに「事実一致性」を整理した上でのペーパーを入手すれば、あなたの取捨選択の時間が省ける。相手方に促してもペーパーすらも出てこない様な話は、もとより検討の余地は希少だ。これが量的精度確認手法である。
……インフォメーションの活用と小田原評定に、圧倒的な正社員が会議・報告・打ち合わせに時間を費やしており、これが正社員の残業無賃金の原因にもなっている。またペーパーの取捨選択をアルバイトや末端社員にさせれば判断を誤る、官僚主義の第一歩だ。個別企業の経営者は、正社員のそういう働き方を嫌悪しているにも関わらず…。


§日本の重要なエネルギー源・森林を考える(事例研究)
日本は国土に占める森林の割合が非常に高い。ところが、この資源については全く活用されていないのが現状だ。なぜなら、おそらく、森林エネルギー活用は原発稼働問題を解決するかもしれないからだ。筆者の推論だが、終戦直後の農地改革でも山林は手をつけることが不能な要素をもつ程であったから、金融利回り追求型の資本や事業が食い込めなかった産業と考えられる。また特徴として、戦前までは炭や薪による生活熱エネルギー供給源であり、戦後復興期は住宅資材の供給源として、当時の生活文化産業の柱であったからだ。その後のエネルギー転換政策で、体よく産業政策から排除されていたことも否めない。また現状、ウワサとは異なり、国内の木材は大量乱伐しても外材よりも低価格で扱われている。そして今や、生息する森林や雑木林は超過密状態若しくは原生林化が進んでおり、山崩れ、保水力低下、鳥獣被害といった、「里山といわれる産業」の障害や破壊を引き起こしつつある。
ところがなぜか、学術界も住民意識も森林産業を農業とは別物のように受け止め、生活や経済の豊かさへの活用というよりも、もっぱら懐古趣味の対象として扱われている。政府の林業政策は、林業の事業規模集約化と東南アジア向け輸出といったテーマを掲げているが、あえて抵抗が多く座礁する着想を掲げることで政策を停滞させるといった、いつもの官僚たちの手法(彼らは素人ではない)にすぎない。唱えられている国土緑化政策も、環境意識の向上をかわすためのポピュリズム迎合に徹した、現実と相反する仮説や情報の洪水である。
筆者は、予期せず昨年末から森林経営をすることになった。
その役目は生まれながらであり、そのために教育投資のみ私自身には施されていたが、その経営に携わる時期は未定であった。このように経営を継承させる手法こそが、近江商人(武・農・商が一体)の真髄そのものの一端である。そこには一挙に新産業展開できる基盤も、近江商人(武・農・商が一体)の真髄なる流儀により整っている。そこで筆者は5ヵ月の調査研究を経て、滋賀県彦根市の市街地にある、「極めて珍しい木材家屋」を近江商人や地場の産業・環境研究の無料滞在施設にした。

☆彡そのうえで、新しい森林産業の起爆として、
鈴鹿山系北部に広がる山林は次のように産業開発をすることとした。
1.利回資本投下で事業展開するには、そぐわない資本回転型なので、需要側の資本投下に傾斜する。
2.森林産業を林業化してしまえば、木材その他資源は通貨価値を失うから、森林産業として展開する。
3.鳥獣被害は生態系バランスの歪みだから、森林産業として生態系バランスの起爆ポイントを実施する。
4.都市部への人口集中の激化で、緑化とICT機器による精神肉体安定事業は、都市の固有価値労働に不可欠である。
5.人間・化石・植物・自然のエネルギーバランス再編の創意工夫によりエネルギー費用が低下する。
6.その豊富なエネルギー効率供給により、固有価値労働を支え、「意欲・感動・希望」の商品生産基盤を作る。
7.需要からかけ離れた補助金漬の林業形態から、森林が生み出す固有価値商品への産業転換を強める。
8.新しい森林産業には、産業芸術家、学術研究家、需要側資本機能家、経世家たちの、職業能力と力量が必要である。
9.この産業開発の基地ともいうべき拠点は、ここである。
  http://www.youtube.com/watch?v=gB55xI-Yau4
……学術・技術・芸術から固有価値経営~固有価値労働に渡り、生活文化産業として固有価値商品の供給を、あらゆる人たちとの協力・提携を進めて行く戦略とした。協力・提携者を募っている。ピンと閃いた方は気軽にどうぞ。《連絡先:mail@soumubu.jp


§次代の経済に通用する職業能力向上のヒント
日本経済は、衰退過程どころか経済が崩壊しつつある。これはアメリカも同じことである。大半の人たちは、過去の遺物にしがみついて経済を維持しようと経済外の方策でもって現状維持しようとするのである。その経済とは、経済成長と経済の豊かさの両面に渡ってである。ところが、経済が崩壊過程に入ったとしても、社会の過去的又は将来的構造は維持されるから様々な矛盾が肌身で感じられるようになるのだ。衰退産業における個別企業は、同業他社が数多く廃業してくれれば、自社の売り上げが向上するから、目先の売り上げのため産業全体の構造改革は行わない。女性の社会進出といっても、現在の結婚制度の変更がなければ進展するはずもなく、ことに経済の豊かさを追求するには無理がある。
そこでは、次代の経済に通用する職業能力のメドを立てる必要が、個別企業も個人にも大切なってくるのだ。経済成長一本ヤリの着想だからこそ衰退→崩壊に向かうのは自明の理である。経済成長と経済豊かさは飛行機の左右の翼ではあるが、現在必要なのは経済の豊かさを良心として求める具体的行動の活発さなのである。ここに、経済活動の片肺飛行と失速の原因があるのだ。
次に、その研究のヒント例を示すが、こういった職業能力が普段に論理構成として学術展開されることが望まれる。それは、前回のメルマガでの「職業能力の練習による向上」の、次の分野に位置づけられるだろうが、もちろん個々の職業技能を早く習得した人材により、高い収益が得られるのは間違いない。(引用=中央公論新社:室井滋『玄人ですもの』(インタビュー集))
1.水戸岡鋭治(インダストリアルデザイナー)
 マンションの完成予想図:「人や花、木など、生活スタイルが見えてくること」
 電車のデザイン:「電車だけでなく、ホームにいる人がどんな動きをしてるか描き込むこと」
2.立川志の輔(落語家)
 「立ったり座ったり動いたりすると、感情が入りにくいんですよ」。
 「古典落語は無駄という無駄を削ぎ落として、人間のいちばん大事な感情だけで笑いを作っている」。
3.山口晃(画家:大和絵師)
 「得ることだけを念頭に描いた作品が、……その作品は全く売れない。描きたいものがあって一所懸命取り組んだものから売れて行きます」。
 「絵描きは100ヵ所を見に行くより、1ヵ所を百回見る方が才能か、と思うのです」。
4.金澤翔子(書家…障害があるため母親が代弁)
 「翔子は子どもの頃、右肩あがりという概念が理解できませんでした。楷書の基本中の基本のですが」。
 「書道で大事なのは形と線です。形は何年か鍛錬すればできますけれど、線は書く人の生き方や態度がそのままでます」。
 「翔子に指導してもらった子はすぐにわかります。言葉や理屈ではなく、体の重心移動で筆を運ぶことを覚えていますから」。
5.穂村弘(歌人)
 『雨だから迎えに来てって言ったのに傘もささずに裸足で来やがって:盛田志保子』
 …この解説として、「普通に傘をもって迎えにきたら、きっと3週間もすれば忘れる。でも。この体験をちょっと忘れない。……社会的な強制力の方が強いから、だんだんそういう思いを自ら消すようになる」。
 「女性は感覚が社会化されていないことがあって…。表情や間の取り方で、若者はすぐ見抜きます」。
6.日比野克彦(アーティスト)
 「美術が嫌いな子どもは、たいてい学校の図画工作や美術の授業で嫌いになる」。
 「リラックスというのは、けっして何もせずに居たりすることだけではないからね。いつもと違う時間の流れを、生活の中に入れることだと思います」。
 「絵を書くとき、人がこれを見てどう思うかという、相手の気持ちを思いやる感性がないと、独りよがりになってしまう」。
7.中島盛夫(銭湯絵師)
 「色は薄い色に濃い色を重ねて行くと、刷毛をあまり洗わなくて済む。使う絵具は赤、黄色、青、白の4色だけ」。
8.戸恒浩人(照明デザイナー)
 「ほの暗いなかでちょっと点いてる光が素敵に見えたり、建物が美しく見えたりする。今まで無駄な光がいっぱいあったということに、多くの人が気付いたんですね」。
9.戸島国雄(元警視庁鑑識課似顔絵捜査官)
 「まず(目撃者から)、どういう感じの人でしたか?どんな職業の人に見えましたか?と、見た瞬間の印象を伺います。……具体的な細部から聞く人(似顔絵師)もいますが、それだけではうまくいかない」。
 「だいたい描けて来ると、明るい雰囲気の人物か、暗いイメージかを必ず尋ねます。印象を大きく左右するので重要です。そのうち、描いている途中でワーッと泣き出す人(目撃者)がいる。そうなると、ほぼ完成です」。
 「鑑識撮影は、基本はフィルムです。というのも、デジタルカメラで撮影したものは、後でデータを変えられるため、証拠能力に乏しいのです」。
10.鎌田浩毅(火山学者)
 「火山灰は、タバコの灰とは違います。岩が細かく砕かれた、とげとげザラザラのガラスの粉のようなもので、目やのどに炎症を起こします。風で舞い上がり、雨が降れば固まってしまう。宝永の噴火では、江戸でも火山灰が積もって、1ヵ月以上住民を苦しめたと記録されています」。
 「最も恐れるのは、コンピューターがやられること。火山灰は静電気を帯びているので、冷却用の吸気口からコンピューター内部に入るといろんな場所に張り付く。その結果、軒並みダウン。……前回(宝永噴火)のような大噴火になったら東京ばかりか富士の風下にあたる関東全域で、そんな事態なる可能性を否定できません」。
 「(大噴火で避難する時は)、背広にグレーか紺のネクタイと決めていますよ。有事には信頼感安心感が大事ですから」。
11.本川達雄(生物学者)
 「小さなネズミの心臓の脈拍は速く、大きな象の心臓はゆっくりと打つ。拍動ではなく呼吸や一生の時間もサイズに関係しています。大きな動物は長生きで、小さな動物は早く死ぬ。ところが一生のうちに心臓を打つ回数は、ネズミも象もほぼ同じです」。
 「(沖縄の)居酒屋のおばちゃんが、今起きたことを即興で歌にして、歌いながら踊るんですよ。衝撃でした。これが本来の音楽だと思いまして…」。
12.遠藤秀紀(遺体科学者)
 「消防士は火事を選り好みしない。どんな火事でも消してこそプロなんだ。解剖学もそれと同じだと」。
13.原島博(コミュニケーション工学者)
 「3秒美人とは、街で見知らぬ人を一瞬見て、お、綺麗だという美しさ。3分美人は、いうなれば受付嬢や客室乗務員など職業的な笑顔を伴う美しさ。綺麗だと思っても、そこにはカウンターというバリアがある。それなりの距離を隔てて見る美しさです」。「30分美人、30分もコミュニケーションをとると、作り笑顔ではなくその人の素の表情が出てきて、そこに魅力を感じることができる。さらに3日話せばその人の人生観や価値観が見えて共感できる。それが3日美人。そして3年は、如何に素敵だと思って恋愛しても、3年持たせるのは大変なことです。3年一緒に過ごせるか否かで3年美人かどうかが決まる。俺も浮気はしたけれど、やっぱりおまえがいちばんだ、というのが30年美人」。
 「相手と自分との距離が近づけば、魅力としてみえる部分も変わる。だから、顔とは客観的に存在しているものではないのです」。
 「不安があると、美しかった過去にすがる生き方になりやすい。そんなつまらないですよ。将来こんな顔になりたいと未来に希望を持つ生き方の方が素敵です」。
14.大平貴之(プラネタリウム・クリエイター)
 「(プラネタリウムを)作る過程は理系、プレゼンテーションでは文系の世界に入って行く」。
 「最近は何事につけ、リスクを排除しますよね。子どもの頃色々と冒険していかないと、生きているという実感がどんどん乏しくなって行く。リスクに対する感覚も解らないまま大人になる人が増えて、発想力も育たない気がします」。
 「プラネタリウムがある科学館は大抵、官公庁や自治体が管理していて公共入札ですから、求められる仕様以上のものを作る必要がなかったのでしょう。僕はそんな事情を知らなかったから、作りたいものを作った」。
15.今尾恵介(地図エッセイスト)
 「昔の日本では市街地と農地がはっきり分かれており、町はコンパクトにまとまっているのは分かります。ところが最近は車で動くことが前提だから、住宅地がだらだらと郊外に広がっている」。「ヨーロッパでは、畑の真ん中に大型スーパーなどを建てられないように規制しているところもありますが、日本ではビジネス優先で、障害者や年配者には暮らしにくくなってきています」。
 「なぜ先祖様達が何度も津波の被害を受けながら、何百年、営々とそこに集落を作り続けて来たのか。そこがいちばん住むのに適していたからです」。「“川は昔の流れを覚えている”という言い方をします」。
……ここで注意が必要なことは、こういった人たちはバランス良く能力向上を図っていると思われる。決して、その方面の能力を闇雲に訓練練習して身に付けているのではない。すなわち、訓練練習した能力以上は身に付かず、むしろ劣化するのである、今の日本のように。