2015/11/10

第163号: 消費低迷を招来するマイナンバー。その官僚の計画経済で没落。

<コンテンツ>
【 制度自体が便乗商法、その勢いを失い空回り 】
【 マイナンバー制度崩壊の行政側の兆し 】
【 ボイコット企業は続出=人事労務に不利益であるから 】
【 社内の事務担当者が、「苦役」として取扱いを拒絶 】
【 筆者の Facebook が突然停止・全面削除に 】

【 マイナンバー解説特集 】
= サギ、誘惑、オドシ、人間タグ から我身を守る =
A.【 一度!会社に届出た個人番号は削除できない。】
B.【 個人がマイナンバーを届け出るのは自由意思の同意が必要。】
C.【 赤ちゃんから中学生までの子供たちには意思表示が出来ない。】
D.【 高齢者や認知症などの意思表示が困難な人たちの番号。】
E.【 水商売などの副業が、マイナンバー制度でばれる?】
F.【 ネットビジネスや兼業をしている人たちがばれる?】
G.【 仕事先に届出すれば銀行口座まで捕捉されるかも?】
H.【 会社(事業者)には、何ら必要も義務もない。】
I.【 会社が強制すれば強要罪になる、個人番号回収 】
J.【 個人番号は無記載でも、どこの役所も対応する。】
K.【 マイナンバー制度のメリット、「公平さ」って、これ本当?】


マイナンバー制度は、経済の成長や豊かさの充実の障害となり、まず持って個人消費低迷を招来すること間違いない。経済活動というものは、縦型で動くものもあれば横型で動いているものもある。そこに官僚主導の全体管理と計画経済が合格を作ってしまえば、否応なく硬直を起こしてしまうのだ。もとより人類活動とは計画した通りに型のはまった物事ではなく、たとえ公私を区別したところで経済活動や人間生活の法則性は容易に見つけることが出来ないのである。特に国民と民間企業というものは、その携わる人たちが、「心と気持ちを尽くし」それが良心の維持につながらなければ国民的な大きな動きにはなりえない。公平公正とかチマチマな銭金などで誘惑や利益誘導しても社会のリーダーは動かない。


【 制度自体が便乗商法、その威勢を失い空回り 】
マイナンバー制度の導入に伴う便乗商法は、次々とその勢いを失いつつある。厚生労働省の汚職問題もさることながら、行政の情報システムのソースを独占確保して、次にそれを民間企業などに売り込もうとしていたIT関連の大手企業の思惑は外れつつある。それは所詮が企業論議に終わり、まともなマーケティングもないままに資本投下を焦った、官僚たちの思惑の末のことである。そういったプロセスから始まった今回のマイナンバー制度は、全く国民の賛同を得られず、当然のことながら日本の隅々では空回りを起こしている。
「会社がマイナンバーを集めなければ、設備投資は不要でしょ」。
とのユーザー側の質問に、今年の夏は強気に攻勢をかけてきた営業マンたちも、マイナンバー法の内容が明らかになるに従い一挙にトーンダウンした。現在は唯一事務処理の負担軽減が営業トークの主流となっている。IT化の進んでいない中小企業には、もっぱらマイナンバー向けの用紙や印刷物の販売が現われてきた。このような便乗商法に至ってしまえば、マイナンバー法の趣旨の中心的課題である、「事業者が取得した番号の安全管理措置」が、法律とは裏腹に益々順守されない事態になってきているのだ。それは当然、安全管理ノウハウの持ち合わせがない民間企業に、「集めろ!集めろ!」とPRをすれば、安全管理を順守しない個別企業がわき出るのは自明の理である。


【 マイナンバー制度崩壊の行政側の兆し 】
国民の20%の番号が利用(税務署による収入の追跡)されなければマイナンバー制度は空転する。要するに、賃金や報酬の支払い元を通じて個人番号が税務署や市町村その他に提供されなければ機能しないからである。中には再来年の市町村の個人番号回収時期になっても、マイナンバーに連動しないK市のような情報システムが存在することも事実だ。
★ 年金や社会保険は
マイナンバーがなくとも基礎年金番号さえあれば差し支えないとしている。
★ 雇用保険も
マイナンバーが集まらなければ不要だし職員が質すこともないと言っている。労働保険事務組合(中小零細向け)の雇用保険も記載不要と回答している。
★ 国税庁は
法的根拠もなく、年末調整の「扶養控除申告書」に何気なく記入するよう、個人番号欄を設けた用紙を配布したものの、今年内のマイナンバー回収は必要ないとし、個人番号記載欄があったとしても、これが法定調書ではないとして「扶養控除申告書」のマイナンバー記載を不要とした。あげく、平成27年分の冊子「年末調整のしかた」(国税庁)には個人番号記載の関連説明文章は全くない。この団体には、「事業者が従業員などの番号を扱わないことに対して国税上の罰則や不利益はない」とまで回答したようだ、びっくり!
http://www.zenshoren.or.jp/zeikin/chouzei/151109-01/151109.html
★ 市町村に至っては、もっと混乱。
マスコミ報道されるほかにも情報システムの不具合が各々市町村で続出しており、通知カードの発送も想像以上に遅れに遅れをとっている。それらは自治体機関内部のマイナンバーに対する不満や反発が少なくないから進まないのである。年内に全住民に配達や周知をする目標は、いまや配達や不在の再配達までもが完了するかどうかのところまで遅れている。通知カード配達にはDV被害者や事情があり住民票と居所の異なる人への配慮はない。どんな法令も本人通知の方法は居所宛を原則としているにもかかわらず、マイナンバーだけが異なるのである。
________これらの行政機関内部の実態には、
官僚主義者には想像がつかないのであろう。公務員とて理不尽さを感じれば仕事や作業のスピードは格段に落ち込むのである。まして一般国民に先行してマイナンバーや身分証明が実施されるとは予想もせずに公務員を希望した者も多いからである。
ここに、すなわち、はっきりとマイナンバー制度崩壊の兆しが見えてきているのである。20%の国民が賃金や報酬の支払い先にマイナンバーを届けなければ、制度は空転するのである。


【 ボイコット企業は続出=人事労務に不利益であるから 】
ボイコット!もとより個人番号を収集出来ない状態を、あえて維持する個別企業が続出している。とても頭が良い=安全管理措置が形成出来なければ、個人情報保護法(マイナンバー法の基礎土台)に違反するから、番号の取得作業自体を、少なくとも次々と先送りにしている企業である。大手スーパーなどは早急に、年末調整の扶養控除申告書を個人番号記入無しで回収してしまっているところが続出である。大手メーカーでも番号非回収を明確に打ち出しているところもあり、マイナンバーの勉強はするが、その先の実務対策を停止させているところは少なくない。中堅・中小企業でも、「本当に必要なら何か言って来るだろう」として、何もしなくても罰則がないから様子見をしているところが圧倒的である。当初9月ごろは、「お上に楯突かない」と社員には強弁していた経営トップであっても、マイナンバー法の実態を知るにつれて、沈黙および様子見の状態である。そこにはさすが民間企業であるから、時代環境を読み多人数をまとめるノウハウを持っているから、機微を察するのは確かである。ただし、物事の専門的真理を示す、「その道の専門家」とか、「その筋の本当の目的」などを知る!若しくは察知できれば!の話であるが。


【 社内の事務担当者が、「苦役」として取扱いを拒絶 】
さらに、マイナンバー取扱事務担当者の業務は緊張・危険が一段と増しているにも関わらず、実刑判決を伴う罰則が厳しいことにある。マイナンバー取扱部門は、各企業がそもそも頭のよい人物を集積させているのだが、この人たちが察知してマイナンバー取扱を拒絶するケースが続出しているのである。末端社員に行けば行くほど明確に、「仕事をしないし!」と拒絶する。
そうすれば課長、部長そして経営者も実務をするわけではないから業務が止まってしまうのだ。
そこに、(憲法18条、労働基準法5条)の裏付けのある、「苦役」に該当することは誰でもわかるから、部下に無理強いすることは出来ないのだ。
国家資格者でマイナンバーを扱う主力に社会保険労務士が存在しているが、彼らは個別企業の依頼を断れないといった自由契約の制限(社労士法20条)の職責が存ることから、個別企業の法令違反のみならず労働法、個人情報保護法、マイナンバー法などの抵触懸念があれば、「マイナンバー取扱停止の事務代理」を行うこととなっている。
★ 国家資格を持つ専門家が、個別企業で集めた個人番号の取扱停止を行うのだから、担当事務員が取扱業務を拒絶するのは、もとより民間企業では安全管理が無理なのだから、当然といは当然の拒否である。
★ そもそも民間企業においては、機密や個人情報を守秘する体制やノウハウのないところが圧倒的であり、まともな誓約書すら回収していない。機密と個人情報の違いすら認識していない会社が圧倒的である。
(機密・個人情報守秘の誓約書例)
http://www.soumubu.jp/download/template/template2/sonota/shuhi-mynum.html
マイナンバー制度に踊り、個人番号を個別企業などに届出た個人や家族から先に、マイナス面が降りかかってくることが明らかとなった。ただし、そんなことには全く気がつかない運命論者が圧倒的であることも確かであるが…。
誰でも、「心と気持ち」にそぐわない仕事はしたくない、いくら理屈を付けられても、まして理屈に道理がなければ、長年に渡ってその職業を続けるのであれば、人生にマイナスになるような行為=社会的道徳に反することはしないのである。


【 筆者の Facebook が突然停止・全面削除に 】
折しも、ここ5年ほどに筆者がPR手段として活用して来たFacebookが、11月3日に突然使用停止出来なくなった。
「総務の金星」で、およそ25万通の配信実績だったがゼロになってしまった。もちろん警告も前触れもなく瞬時に停止。この時期タイミングの「サイバー攻撃」と考えられなくもないが、その裏付け証拠がないから何とも言えない。
ちょうど、マイナンバー制度を実施すれば、いくつもの周辺法律に抵触して、後からできたマイナンバー法の解釈を、現行PR内容から次々と変更する必要があることを論理的に法律的に証明できた矢先だった。すなわち、内閣府のPRやガイドラインを進めるには、現行法律の民事法・労働法の様々な個所での法違反が生じることが証明できた、それは憲法違反かどうか知らないが。それを発表した途端の、このFacebook突然停止の時点である。
現在は、「株式会社総務部(11/3移転変更)」のFacebook-pageを立て、
ツイッターに、「総務の金星」を新設して、情報窓口を急きょ開設。情報収集にはツイッターのフォローもどうぞ。
https://twitter.com/preside28467664


【 マイナンバー解説特集 】
= サギ、誘惑、オドシ、人間タグ から我身を守る =

A.【一度!会社に届出た個人番号は削除できない。】
何の気なしにマイナンバーを書いて会社に出してしまった、色々説得されて仕方ないから出してしまった、といった場合はもちろんのこと、とにかく一度!会社に届出た個人番号は削除できない。会社の事務担当者や社長がマイナンバーを削除することはできない法律である。
この部分はマイナンバー法ではなく
個人情報の保護に関する法律の第27条(利用停止)が適用されることになっている。
これは、うっかり間違ってしまった場合でも削除できず、民法もこの法律には及ばない。
年末調整の「扶養控除申告書」などの、個人番号欄にマイナンバーを記載して提出してしまえば、会社の経理や人事の事務員でも削除できない。家族の個人番号を記載してしまった場合も削除できない。
勝手に消してしまうと、会社の事務取扱担当者も法律違反に問われ、懲役や罰金が科せられる。

このことはマスコミとか、マイナンバーの解説本でも殆ど話題にしていない。
ドサクサ紛れとしか考えられないマイナンバーの収集方法である。行政法であるから「いわゆる罠」だと感じても、本人も会社も法律的に争うことはできない。道路交通法と同じで違反の構成要件が整えば罪となる。
だからこそ、恐ろしい法律なのである。個人のメリット:デメリットといった軽い話ではない、一生涯に付きまとう。

また会社に届けた個人番号は、退職してから7年を経たないと削除されない。
すなわち、追跡調査の対象である。主婦などの週20時間パートタイマーの社会保険適用(平成29年10月1日)のコンピューターチェックに、このマイナンバーを使用することは念頭に置かれている。その他のマイナンバーの利用拡大には、税務署の本人追跡や家族追跡、本人や家族の預貯金額や金銭収入の出所を追跡することが見込まれている。


B.【 個人がマイナンバーを届け出るのは自由意思の同意が必要。】
通知されたマイナンバーを、役所や会社などに届けるのは、本人の自由意思:同意の上である。すなわち、振り分けられた個人番号の届出を拒否する権利がある。
個人収入、預金の動き、社会保険、労災保険、失業手当など、あくまで本人が自由意思で、生活に掛かる金銭面などをヒモ付したければ、初めて届出ることで可能になるものが、このマイナンバーのシステムである。それは、自分の家族や子供だとしても原則他人であるから、保護者の範囲を越えて世帯主などが会社などに届出ることは出来ない。
サギ、誘惑、オドシ、その他うかつな勘違いには注意しなければならない。


C.【 赤ちゃんから中学生までの子供たちには意思表示が出来ない。】
親が代わって意思表示をすることが考えられるが、ことマイナンバーに関しては何の目的で個人番号を使用するのか意味不明である。
サラリーマンなどの労働者をやっている人の子供たちに限って、会社への届出対象と国税庁は提出を求めているが、年末調整の扶養控除申告に子供の個人番号は不要である。所得税の源泉徴収をしない自営業の子供たちは、個人番号の提出を求められていない。
子供の養育費やお小遣いを税務確定申告できるわけでもないし、生活に掛かる金銭面などをヒモ付にする必要が子供たちにはないのである。
平成28年度の源泉徴収票(平成29年1月が期限)に16歳未満の者の個人番号記載欄は無いこととなったが…。国税庁は、ようやく10月末になってWebに、扶養控除申告の個人番号欄へのマイナンバー記載は不要と掲載したが…。(しつこく電話で問い合わせた会社だけには以前から知らせていた)。


D.【 高齢者や認知症などの意思表示が困難な人たちの番号。】
取扱事務員も会社も、ドサクサ紛れに家族分までの個人番号を回収することは個人情報保護法違反のみならず、刑法の窃盗罪、金銭が絡めば詐欺罪、そして強要罪となる。
たとえ同居の親族であったとしても、親や義理の両親のマイナンバーを本人同意なしに会社などに届けるわけにはいかない。
会社は社員等との代理人契約を行い、委任状を被扶養者に提示した上で、代理人となった社員が家族から個人番号集めることが法律的に必要な要件である。
この場合、認知症その他で意思表示が出来ない場合は、裁判所が認める(成年)後見人が本人に代わって自由意思の同意を行うことになる。
会社の代理人(従業員)と未成年の子供の保護者が同一人物の場合は、代理人(従業員)の双方代理となるから効力がない。だとすると、もう一方の保護者が未成年の子供に代わって、「自由意思の同意を行うことになる」といった形容矛盾のような話なってしまう。


E.【 水商売などの副業が、マイナンバー制度でばれる?】
これは、その業界を熟知していない人に対する脅しであり、デマにすぎない。キャバクラやスナックその他風俗店は、現金商売であり税務署が売り上げと必要経費を把握することは困難を極めている。この業界の根本は、副業女性の人数や酒類などの仕入れが不透明であるから成り立つ商売である。源泉徴収はおろか帳簿などが存在しない、また、させないのが経営の鉄則である。
そのような店では、副業する女性などに対してマイナンバーを請求される由縁がない。要するに、彼ら彼女らがマイナンバーを届出する先がない。マイナンバーを届け出ると固執すれば、お店から首になるのが関の山だ。
そんなことは税務署がよく知っている。調べてみると、マイナンバー制度でバレルなどとの記事を元税務署職員の税理士がNetに書いていたりする。その業界の実態を知った上で記事を書いていれば詐欺行為であり、少なくとも実態を知らないで記事を書けばデマを流していることになる。
早い話が、副業していても個人番号を言わなければよいのである。


F.【 ネットビジネスや兼業をしている人たちがばれる?】
ネットビジネスで、「売り上げ-仕入れや必要経費=多額利益」を得た場合は、本人の責任で確定申告をすればよい。またアルバイトに出かけている人たちは、(届出拒否!)行った仕事先だけでも個人番号を言わなければよい。
一般企業はそれだけを話して、敢えて社員のことにあれこれと「お恵み深い親切」をすることはない。プライベートの侵害ばかりか、いじめいやがらせに発展する。
たとえ、兼業や副業禁止の就業規則等があったとしても、個別企業は社員の通常業務に支障が出ない限り、解雇はおろか何らの懲戒処分もできないのが今の労働契約法である。
考えてみれば、株式配当などで利益を上げれば反対に、うらやましがられることが多いのだが、実に不思議なことだ。こういった兼業ネットビジネスでのマイナンバーの話は、我々のような専門家からすれば子供だましであるが、不安に陥れる常套手段はナチスと全く同じである。
脅しやデマの類は、まず他人を不安に陥れる。次に安全策?があると持ちかける。Netの記事では、市町村税の「普通徴収」(会社に送ってこない税徴収)などを持ちかけているが、まさに「この手の安全策?の類」である。マイナンバーPR記事も当初に比べれば露骨な表現記事は無くなってきたが、税理士の肩書でNetに投稿する者も少なくない。マイナンバーに関する専門家は現在のところ社会保険労務士と税理士の2つであるが、法律的に熟知している者はきわめて少ない。弁護士は法律条文の解釈をするが、末端現場の実状や実務を熟知している人は少なく、説明が架空のストーリーになってしまう場合が多い。


G.【 仕事先に届出すれば銀行口座まで捕捉されるかも?】
多くの企業が賃金あるいは支払いを銀行振込で行っている。
マイナンバーをその他の書類と一緒に保管するなと、一応のアドバイスをしているが、どこの企業も賃金や支払計算には銀行口座が一緒に保管されている。
いわゆる組織的マイナンバー詐欺は、近年のオレオレ詐欺同様に用意周到・準備を重ねた上で攻撃する。そのデータが民間企業の事務室に溜まっているのだ。彼らがここを狙わないわけがない。分からぬように抜き取り、海外から数年後にネット攻撃をかけられはひとたまりもない。よくある話だが、経理あたりの事務員を使い持ち出すかもしれない。事務員からネットでコピーを買い付ける事は十分予想される。
医療控除その他の確定申告に“ナリスマシ”されれば、ことにE-Taxでの確定申告には病院の領収書添付が不要だから、大いに狙われる標的である。もちろん、年末調整の際に提出する扶養控除申告書に家族が記載されていれば、それも含めてひとたまりもない。
★ 企業倒産の経営者が夜逃げをする場合、売れるものは全て持って逃げるのが当たり前である。
適格年金の退職金:数十人分を持ち逃げされたY生命の事件もあった。まして、ひとり数万円×家族数の漏洩賠償責任額相場と言われるマイナンバーを、借金苦で困り果てた経営者が詐欺師たちに売り払うことは相当高度な確率で予想される行為である。残念な事件が発生する現代社会であるからこそ、個別企業が守秘出来きれないマイナンバー制度であることは明白だ。


H.【 会社(事業者)には、何ら必要も義務もない。】
マイナンバー法ではなんの権利義務も定めていない。あくまでも、会社が番号を取得した場合には、安全管理の義務があり、その他には協力に努める(事業者の努力)の定めだけである。Net情報を読んでみても主語がはっきりしない曖昧な記事が多く、「財務省が必要」とか、「個人番号を集めた会社の義務」としか理解出来ない文章が並んでいる。会社には集める義務ないし集める必要は、どこにも法律上は存在しない。
加えて、会社において予め、安全管理の措置が図られていなければ、マイナンバーなどを収集すれば、個人情報保護法での違反行為となる。だとすれば、「マイナンバー保険」の便乗商品は、保険効果(その消息スジ)も無さそうだし、法違反や不法行為となれば、保険会社も保険給付を減らしてくるのは目にみえている。


I.【 会社が強制すれば強要罪になる、個人番号回収 】
会社も個人も、個人番号を回収する義務も権利も、どの法律にもない。義務も権利もないのに、それを他人に強要すれば、番号を提出させたならば強要罪、提出させようとしたら強要未遂罪である。
労使協定は唯一、会社が届出依頼を出来るのみである。労使協定が存在したとしても、やはり強制すれば強要罪となる。(労使協定の例)
"http://www.soumubu.jp/download/template/template2/sonota/kyotei-mynum.html
そして民間企業の場合は公務員のように職務権限の概念が無いので、「上司の命令を聞いただけ」との弁明では、個人番号の入った書面を扱う仕事をさせられた者は、刑事訴追や民事訴追を免れない。
まして、年末調整の「扶養控除等申告書」について、国税庁はWebの中で、「なお、平成27年12月以前に提出される扶養控除等申告書については、法令上、個人番号の記載義務がありませんので、個人番号については空欄で提出しても差し支えありません」と告知している。また以後の平成28年1月1日以後のものについても、「扶養控除等申告書」には記載しないでよいとしている。
"http://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/gensen_qa.htm


J.【 個人番号は無記載でも、どこの役所も対応する。】
10月29日までに国税庁はWebを更新して、源泉徴収票については個人番号がなくても書類は有効であるとして、集められたマイナンバー分だけでよいと掲載した。地方税も同様である。
来年1月1日からの雇用保険は、会社に集まっている分だけで良いとし、ハローワーク職員が個人番号欄が空白となっている理由を聞くことはないと回答(10/21)している。
健康保険や厚生年金も基礎年金番号があれば受け付け処理するとしている。
すなわち、マイナンバーが記載されていないだけのことで、税務や雇用保険や社会保険に、何らの制限をかけることがないといった各々の元来法制度を貫くというわけだ。
個人番号が分からないとのことを口実にして納税手続きをしない人を防ぐし、
雇用保険は本名を明かすと危害の恐れのある人も加入させる必要があるのだし、
社会保険は健康を保持するための保険であるから戸籍も住民票も本名も二の次、
だからである。個人番号がなくても対応しなければならないのは法令上の通念である。
それを、「必要」のだとか「義務」だとかの語句を必要以上に並べることで勘違いさせようとする手段が使われている。だからNetを端折ってみたり、突然話を聞いたにすると勘違いしそうになるのだが、電話でもいいからよく聞いてみるとNetなどから受け止められるようなこととは異なった返答が返ってくるのである。内閣府が運営するマイナンバーコールセンターに、よくよく確かめれば不安は解消する。ところがこのコールセンターを話中ばかりが続いている。


K.【 マイナンバー制度のメリット、「公平さ」って、これ本当? 】
いま一般的に浸透している、この「公平さ」の話題とは、生活保護の不正受給、脱税行為の減少、重複医療診療といわれるものだ。ただ、健康保険の重複医療診療は10月7日に日本医師会がマイナンバー構想に反対を表明したことからトーンダウンしている。年金記録については、マイナンバーよりも優先事項が解決していないから延期となっている。すなわちその多くが、マイナンバーを導入してもそのまま続く、行政の政策ミスといわれるものなのだ。
★ 生活保護の甘さといっても、
例えば、大阪市を甘い基準にするとによって、西日本の各都市から大阪に生活保護者を流入・集中させている現実がある。このための交付金を大阪市に特別として支給している。また、現財務大臣の地元:飯塚市や近辺の選挙地盤では、12人に1人と、生活保護の受給率が極めて高い。
★ 脱税の氾濫、
行政機関の調査摘発の人員減と能力低下そのものである。そして人員を投入すれば、マイナンバー制度で追跡する小口の税収よりも、はるかに大きな追徴税の回収に取り組むことができると言われている。企業の支払う年金保険料は、100人程度までの会社を大目に見て来たが、マイナンバー制度とは関係なくこの10月1日から国税情報と国税庁職員を使って追跡調査と強制徴収をすることとなった。そもそも、税金の使い道が、国民の幸福施策に直結していることが理解されれば、一般国民は悪人でもなく納税啓発が盛んになることを自明の理である。
★ 重複医療診療
健康保険の制度運用により、近年は病院などでの検査漬けは無い。医療の検査DATAは患者への貸出し義務が在るので、行った先ごとに重複した検査も行わない。また、セカンドオピニオン(第2意見=直訳)医師制度も進展しており無駄を重ねる治療も激減している。確かに、犯罪や犯罪集団の事例は後をたたないが、それは暴力団対策とか犯罪環境への対策であって、マイナンバー制度で解決するものではない。
http://jp.reuters.com/article/2015/10/07/interview-mynumber-idJPKCN0S107A20151007

___国家(行政)のあるべき マイナンバーの本題___
幸福は自分で創るもの、幸福になりたい情報も自分で流すものだ。
とにかく優先されるべきは国民の経済自由・平等が先である。
「幸福の観念は、人権概念によって整えられた国家体制の産物」(カント)の啓蒙だ。
あなたや友達の、明日の幸福を増せる、マイナンバーが手元に届く→会社に届ける→そんな幸福の組立と判っていれば、少々の危険があっても国民は協力する。だから、良く分からなければ、個々人の幸福であれば自己決定権があるから、個々人が届出を待ってもよいのである。
未だに現実は、マイナンバーの幸福の組立が不明だし、事業所における情報漏洩を防止するノウハウや設備は民間企業にはない。まして、マイナンバーの「公平さ」とは、言葉の夢物語だけで、その実態すら伴っていない。むしろ、お恵み深い官僚の許(もと)でのイジメ嫌がらせ嗜好趣味で、経営者も労働者もが自ら首を絞め、幸福を遠ざけ、まるで官僚への密告情報の管理体制を招来するのである。
マイナンバー促進の全戸配布ちらし! ここにきて経産大臣は断行!と、異様な雰囲気だ。

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